初恋ウエディング~交際0ヵ月の求愛~

柚希side-

爺ちゃんの癌の進行は予想以上に進行していた。
余命半年・・・

それが爺ちゃんの命の期限。

それを知った桐生会長は俺と眞彩の結婚を急がせた。
一ヵ月後の大安吉日。
今日を含めて、丁度一ヵ月か・・・

回診から戻った俺に客人が来たと大泉先生に言われた。

「誰?」

「『ドラゴンホテル・東京ベイ』の支配人だと言ってた」

「えっ!?あ、そう…で、彼は何処に?」

「カンファレンスルームに待たせてある」

「ありがとう・・・」

俺は電子カルテをデスクに置いて、急いでカンファレンスルームに行った。

「お待たせして、申し訳ありません・・・」

「こちらこそ・・・お忙しいのに、申し訳ありません」

昨日の黒服とは打って変わり、紺のスーツに身を包んでいた。
互いに椅子に腰を下ろした。

「これが・・・相馬家、桐生家の結婚披露宴の見積もりの分です。
昨日、お二人がお決めになった衣装の分もプラスさせて頂いています」

俺は晃祐さんから見積もり書を受け取り、目を通した。

「あくまで、まだ正式な金額では御座いません。
しかし、海外出張中の総支配人と連絡を取り、相談した所、この金額以上の額のお金は受け取るなと言われたので、これが正式な請求書になるかと思います」

「えっ!?
この金額から出た額は・・・」

「私どもからの結婚祝いと言うコトです。
サービスさせて頂きます」

「そう言われても・・・」
「桐生会長の顔ですよ。
桐生会長には大変お世話になっているので・・・」

「・・・ありがとうございます」



< 124 / 249 >

この作品をシェア

pagetop