初恋ウエディング~交際0ヵ月の求愛~
カフェを出ると柚希は私の腰を抱いて来た。

「柚希…私…今度の日曜日お見合いするかもしれない」

「見合い…ふうん。そっか」

柚希は適当な相槌を打つだけで、彼の表情から何を思っているのかわからなかった。
何も思っていないかもしれない。

私が誰と見合いしようが関係ないんだーーー・・・

そう思うと急にカラダだけの関係が虚しく思える。


「どうした?」

足を止める私に合わせて、柚希も足を止めた。

「本当は見合いしたくないの。でも、お爺様の命令で仕方がなく…」
私は段々声を小さくして、最後には言葉尻を濁してしまった。


「桐生会長の命令なら仕方がないな」

柚希は冷たく言い放って私の腰から手を離す。

「柚希?」

「眞彩は俺に何をさせたいの?見合いの席に乗り込んで恋人の振りでもして欲しいの?」

「そんなんじゃ・・・」

「俺達はカラダだけの関係、それだけだ。割り切ってくれなきゃ困る」

「柚…希!?」

柚希って…優しい所もあるけど、冷たい所もあった。

彼の言葉は正しい。彼に心が無いと最初から分かっているのを承知でセフレになった。無い物ねだりする私が悪い。

でも、キモチは重なっていないが、何度も肌を重ね合った仲。

私の心は柚希のコトで一杯なのに、柚希に私をスキになって欲しいとは思わないけど、少しぐらい情と言うモノが欲しかった。

でも、ドライなオトナの関係を望む柚希に私の方が合わせるしかない。

そうしないと私は柚希に捨てられてしまう。







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