初恋ウエディング~交際0ヵ月の求愛~
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私は実家の邸宅には戻らず、晃祐さんの元に転がり込んでしまった。
彼は何も言わず、私を受け入れ、部屋番号の無いスイートルームに案内した。

『ドラゴンホテル』最高級クラス・エクゼクティブスイートと同じ広さで、彼はこの部屋に一人で暮らしていた。

「どうぞ」

晃祐さんは私にカモミールティ―を淹れてくれた。
フルーティーで清々しい香りが鼻腔を擽る。

「これ飲んで落ち着いて下さい。眞彩さん」

「ありがとうございます。晃祐さん」

カモミールティーは高ぶった感情を落ち着かせる効果のあるハーブティー。

「ホテルで働いていると様々な人間の人生模様を垣間見ると父が言っていました」

「へぇー・・・」

「実家に帰らず、ここに来たと言うコトは柚希様との仲を決して、壊すつもりはないんでしょ?眞彩さん」

「晃祐さん・・・」

「まぁ、飲んで・・・」

私は再度促され、ようやくカモミールティーを口に含んだ。
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