初恋ウエディング~交際0ヵ月の求愛~
俺と敦司様は人目を避けて、柱の影に移動した。

敦司様の話は訊かなくとも分かっていた。
――――爺ちゃんのコトだと。

「祐早斗様、声が元気だが…お痩せになられたな…病の影響か?」

「はい・・・」

「そうか・・・」
バリトンの声が悲しげに響く。
主治医は爺ちゃんに緩和療法を勧めたが、母さんはそれでは納得できず、藁に縋る思いで、新薬の抗がん剤を投与するコトに決めた。
新薬だから副作用もまだ未知数の段階で、俺は反対したけど。その薬は副作用がなく、爺ちゃんにカラダに合い、癌の進行も止まった。
心配な点と言えば、投与の期間が限られているコトだった。

「でも、今投与している薬・・・相性はいいようで・・・」

「それは良かった。柚希君もいい時に結婚を決意したね」

「はい・・・紡さんにも助言を頂いて・・・」

「そうなのか…紡が君たちの後押ししたのか…それは光栄だな。
今日は私達も媒酌人として君たちをフォローするから頑張りたまえ」

「はい」




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