初恋ウエディング~交際0ヵ月の求愛~
私の手作りのウエディングケーキは時間が足りなく、お蔵入りとなってしまった。
その代わり、私の希望を考慮し、デザートの最高峰コンクール『ジャパン・デザートプレミアム』で金賞を去年受賞した当ホテルのパティシェの花房さんが三段の巨大なシュガーケーキ作ってくれた。

私達は花房さんのウエディングケーキに入刀。
スピーチを終え、披露宴も中盤を超えた。

「柚希君、眞彩さん」

高砂席に現れたのは拓真さんと稜真さんの父親・濱部辰真(ハマベタツマ)様。
亡き彩名さんの父親だった。

「濱部社長・・・」

「柚希君、本当におめでとう・・・」

「ありがとう御座います」

「君のコトはずっと気になっていたんだ。亡くなった彩名のコトを想ってくれるのは嬉しかったが、正直それでは君が不幸になると心配していた・・・」

「でも、俺にとって彩名は初恋の人です。それは絶対に変わりません」

「初恋の人か・・・でも、君の幸せにするべき人は隣に座る眞彩さんだからね。柚希君」

「はい」
柚希は私の方を熱い眼差しで見つめた。

「すまないね・・・柚希君、こんな場所で彩名の話をして」

「いえ・・・」

「じゃ」
濱部社長は自分の席に戻って行った。



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