初恋ウエディング~交際0ヵ月の求愛~

柚希side―

渚医局長は中央アフリカに旅立ち、代行で大泉先生が医局長に就いた。

「相馬先生、高木院長がお呼びだ」

俺は大泉医局長と共に院長室を訊ねた。

昨年、白内障を患い、自身の病の療養と院長の仕事だけをこなしていたが、渚医局長が中央アフリカに旅立ったのを機に現場復帰を果たした。

「院長、相馬先生を連れて来ました」

大泉先生がドア越しに言うと「入れっ」と中から院長の声が聞こえた。

「失礼します」

御年七十三歳の高木院長は小児心臓血管外科医のパイオニア。
彩名の主治医でもあった。
生後まもなく、重篤な心臓病だった彩名。
院長の存在がなければ、彩名は亡くなっていた。
医官にはなれなかったが、病院の医師として働くなら、高木院長の居る『清和会総合病院」で働こうと心に決めていた。
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