初恋ウエディング~交際0ヵ月の求愛~
爺ちゃんの意識は混濁していた。

それでも伝えたかった・・・
爺ちゃんのそばには桐生会長が付き添っていた。

「柚希君…手術は無事成功だったようだな・・・」

「はい・・・」

「わしが祐早斗に伝えたが、君の口からも伝えてくれ」


「その為に来ました」
俺は爺ちゃんの耳許に顔を近づけた。
「爺ちゃん、俺と眞彩の子は男の子だったよ。爺ちゃんの望む相馬家の後継者になれるよ。
手術も無事に成功した…爺ちゃん、訊いてるか??」

酸素マスクを着け、良くは見えないが爺ちゃんの口許は口角を上げ、笑っていた。

「爺ちゃん・・・」

俺はそっと爺ちゃんの手を握りしめた。
温かで、細く骨ばった指先。

「爺ちゃん・・・」

俺がすすり泣いてると、爺ちゃんの目から涙が伝った。

自分の歩む道を否定し、邪魔し、家で縛る爺ちゃんを疎ましく思う時もあった。

でも、それは爺ちゃんの愛だと気づいた。

爺ちゃんが生きてる間に気づいて今は良かった思う・・・

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