初恋ウエディング~交際0ヵ月の求愛~
「柚希とは仲いいの?」

「あ…柚希さんの父親の秘書をしていますから…」

「…柚希がずっと君のコトを見ているぞ…」

「えっ!?」

立ち止り、振り返ると柚希がジッと私達を見ていた。

その瞳から感情は汲み取れなかったけど、関心はあるようだった。

「…この縁談は断ろうと思ってる」

「え、あ・・・」

「俺には最初から結婚する気ないんだよ。防衛隊に入隊した時から生涯独身を貫くと心に決めている」

柚希の方が先に視線を逸らし、エントランスに向かって歩き出した。

私達は柚希とは反対のエレベーターホールに向かう。

「俺が非婚の理由は唯一つ、有事の際…命の保証は100%されないからだ。国を護る防衛隊員の妻になるにはそれなりの覚悟が必要なんだよ」

紡さんは真剣な眼差しで私を言い放って、エレベーターの上のボタンを押した。


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