初恋ウエディング~交際0ヵ月の求愛~
部屋には夕食の懐石料理が並んでいた。

「この船盛り凄いね・・・」

海の幸山の幸がバランスよく使われ、彩も綺麗だった。

「二人の初めての旅行にカンパイ」

私達はグラスに瓶ビールを注ぎ、カンパイする。

私は船盛りに箸を伸ばした。

「鯛から食べるか…じゃ俺ははまちを頂く」

「柚希…ありがとう。幸せよ」

「そう言ってくれると嬉しいよ」

部屋のドアをノックして、先ほどの従業員が慌てて入ってきた。


「お食事中失礼します。相馬先生…ロビーで心臓発作を起こしたお客様がおられて・・・至急来て頂けますか?」





「わかりました。急ぎましょう」

柚希は腰を上げて、部屋を出てしまった。

部屋に残された私はほとんど手付かずのご馳走を見つめ、考え込む。



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