初恋ウエディング~交際0ヵ月の求愛~
「ちょっと来い」

柚希はぶっきらぼうに吐き捨てて私の右手を掴んだ。

「はい…大泉先生、ありがとうございます」

「またね…眞彩ちゃん」

大泉先生は初対面だと言うのに親しげに呼び、手を振った。

柚希はカファレンスルームのドアの空室になっている札を使用中にして、中へと入る。

オフィスで言えば会議室。陽当たりの良い室内は夕陽オレンジ色に染まっていた。


「父さんは?お前一人か?眞彩」
「私一人です」

「丁度メールを送って会おうと思っていた所だ」

「あの…柚希」

「大泉先生と親しげに喋ってどう言うつもりだ?」

「どう言うつもりって・・・」

柚希は私を抱き締めて唇にキスを落とした。
彼の舌が性急に私の唇を割って入り、乱暴に舌を絡めとってゆく。

白衣姿の柚希の匂いは消毒液と僅かに煙草の匂いが混ざっていた。






< 67 / 249 >

この作品をシェア

pagetop