光の少女Ⅴ【決戦編】
「・・・彼処から出たら、直ぐに伏せろ。巻き込まれたくなかったらな」
刹那の言葉に、花音は神蘭と顔を見合わせる。
彼の言葉の意味がわかったのは、実際に出口に辿り着いてからだった。
「伏せろ!」
漸く出口から出たと思った瞬間、刹那が鋭く叫ぶ。
その声に反射的に身を伏せると、花音達のすぐ上を温度差のある凄まじい力が通過していく。
直後、追いかけて来ていた男の断末魔の様な声が空間の中で響き、気配が消えた。
身体を起こして振り返ると、男の姿は勿論、今抜けたばかりの空間もなくなっていた。
「ピイイイ!」
それを呆然として見ていると、鳴き声がして、白亜が飛んでくる。
白亜を受け止めて飛んできた方を見れば、仲間達の姿があり、戻ってこれたのだとわかる。
その瞬間、緊張が解けたからか、花音は糸が切れたように意識を失った。