光の少女Ⅴ【決戦編】
「今の人、知ってるの?」
名乗っていないのに封魔の名を呼んだ女に、花音は問い掛けたが、封魔は首を横に振った。
「いや・・・、だが、今の奴の仮面は・・・」
それでも何か心当たりがありそうな様子に、花音が再び聞こうとした時、風夜と神蘭が駆けてくるのが見えた。
「花音!」
「封魔!」
「風夜!神蘭さん!」
怪我した様子もない二人の姿にホッとする。
駆け寄ってきた二人も花音達の様子を見て安堵していたようだったが、すぐ近くにある城門に気付き、表情を険しくした。
「この城は、まさか」
「ああ。黒姫のいる城らしい」
呟いた神蘭に、封魔が言う。
「まさか、敵に飛ばされた先で見付けるとはな」
「だが、今は此処から脱出するのが先決だ。何か刹那が此処を特定出来る物だけ持ち帰って、脱出の方法を探さないと」
言いつつ、風夜が地面の土を少し取り、何故持っていたのか分からないが小さめの袋に入れる。
それを見ながら、花音は口を開いた。
「そ、それなら、此処から南に力の弱い場所があるんだって。そこから出られるみたいだよ」
「・・・お前ら、此処で誰かにあったのか?」
突然そんなことを言い出した風夜に、内心ドキリとする。
「な、どうしてそう思うの?」
「何故って、さっきから聞いてたら《らしい》とか《みたい》って誰かから聞いたとしか思えない」
「それに私達が此処に来る前に見たエネルギー弾、あれはお前達の放ったものじゃないだろう。一体誰がいたんだ?」
風夜と神蘭の言葉に、花音は困ったように封魔を見た。