光の少女Ⅴ【決戦編】


「うわー、凄え、凄え!」

「凄~い」


継承式が行われる前日、風の国の中は祭のような騒ぎだった。

幾つも出ている屋台を見ながら、紅牙、蒼牙が声を上げる。


「なあなあ、黄兄、何か買っていい?」

「僕、彼方に行ってみたい」

「はいはい」


紅牙、蒼牙が黄牙にそう言って、彼を引っ張っていこうとする。

それを苦笑しながら見ていた花音だったが、ふと上空を何頭かの飛竜が飛んで行ったことに気付いた。


「あっ」

「漸く来たみたいだな」


同じ様に気付いたらしい光輝が言うのを聞きながら、近くにいる朔耶を見る。


「朔耶君、悪いけど・・・」

「ああ。一度城に行くんだろ?彼奴らには伝えておくよ」

「ありがとう。行こう、光輝」

「ああ」


内容も言わない内に答えた朔耶に礼を言うと、花音は光輝と共に城へと向かった。
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