いきなりプロポーズ!?
 しばらくして達哉の唇が離れた。密着していた私と達哉の体の間にも少しだけ余裕ができた。ゆっくりと目を開けると達哉は私の後ろを睨んでいた。私は首にしがみついたままで首だけを回してちらりと後ろを見た。いたのは口をポカンと開けた3人。


「これで分かったか?」


 達哉が低い声で言い放つ。


「わ、わかったわよ」と茶髪A。
「わああ、信じられない……」と両手で顔を覆い、床に座り込んで泣き崩れたのは黒髪B。
「サッカー選手ってやらしい」と金髪C。


 無駄に高かった3人のHPは一気にゼロになった。私の脳内にはゲームオーバー、ユーウィン!、の字幕が現れた。

 Cはブーブー捨て台詞を言いながら、Aは泣き崩れたBを支えながらそれぞれに玄関を出て、待機しているチャーターバスに向かっていった。あたりにいたギャラリーもそれぞれに散れた。達哉は私の後頭部を押さえたまま私を見つめる。


「ほら。神山さんが呼んでる。俺たちもバスに乗ろうぜ」
「……うん。ていうか、いつまで触ってんの!」
「はいはい」


 私はそうごまかして達哉と並んで外に出た。









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