いきなりプロポーズ!?
雲もだんだんと薄くなり、それと比例してオーロラの見える面積も広くなった。さっきまで一部しか見れなかったけど今はカーテン状の光が地平線の彼方まで伸びているのが分かる。その光の筋は3本。東西に延びて平行を保ったまま、北の空から徐々にこちらに移動してくる。そして放つ光もどんどん濃くなっていった。胸がワクワクした。どきどきした。近づくにつれオーロラは輝きを増し、とうとう帯下端にピンク色が加わった。さらに上方向にも光は伸びる。私は瞬きをするのも惜しくて、ずっと見上げていた。
「これがオーロラ……」
ゆらゆらと裾で曲線を描き、こちらに近づいて、光はとうとう真上にやってきた。すると突然、布のように柔らかかった光は鋭い刃物のように形を変えた。光は徐々に白に近づき、空の一点から放射状にゆっくりと伸びる。天頂から何本もの剣が光を帯びながら伸びてくるよう。剣の束が輪状に回転する。白からピンク、青、緑と縦方向にプリズムカラーを見せる。虹なんて比べものにならない。幻想的な世界だ。
オーロラが空一杯に広がっていく……。
鳥肌が、立つ。
「すごい……」
「ああ。これがブレイクアップか」
「ブレイクアップ?」
「オーロラ爆発だよ。これを見れるのはなかなかないらしい」
「そうなの?」
「まるで天が破けるみたいだろ?」
放射状に伸びた光は地面にいる私たちを照らすように強く輝きだした。幾何学模様にも似たそれは、厳かで、神秘的で、あまりの明るさに体を射抜かれてしまいそうだ。このまま吸い込まれてしまったらどうしよう。怖い……でも見たい……。