いきなりプロポーズ!?


「松田って男に会ってこいよ」
「……」
「な?」



 達哉は手を離して天を見上げた。私も真似をして見上げる。光の束はうねり、そして渦を巻くように踊る。


「うん……」


 もう忘れよう。達哉と出会ったことも、好きになったことも。このオーロラが消えてなくなるように旅行すべてを私の記憶から消し去ってしまえ。




*****

 ホテルにもどると午前3時。部屋に入って防寒着を脱いだ。壊れたファスナーともこれでお別れだ。明日は午前8時にロビーに集合。達哉と最後の夜。達哉はトランクス以外の衣服をすべてはぎ取るとソファに投げ捨て、自分のベッドの掛け布団をめくった。


「俺、朝起きてからシャワー浴びるから、愛弓が使えよ」
「うん。じゃあ、おやすみ」
「おやすみ」


 達哉はベッドにもぐりこむ。私は浴室に向かった。


< 122 / 144 >

この作品をシェア

pagetop