いきなりプロポーズ!?
30分ほどして到着したフェアバンクス国際空港、国際と名はつくものの2階建てのこじんまりとした空港だ。日本の地方空港と同じくらいの規模。来たときは海外ひとり旅にテンパってて気づかなかったけど、意外と小さかった。バスを降ると達哉が私のキャリーケースを持った。全員が下りると神山さんの先導で空港の施設内に入る。3日前にも見たクマやタカの剥製が再び私たちを出迎えた。出国審査、搭乗待ち。時間まで達哉とぼうっとベンチに座ってサンドイッチを摘まんでいた。もう旅行は終わる。
「あ、新條さん、愛弓さん!」
甲高い声で私たちを呼んだのは鈴木夫人だった。彼女たちも昨夜のオーロラツアーに参加していたから寝不足しているはずなのに、団塊の世代というのはいつでも元気だ。達哉が立ちあがる。私も立ち上がった。
「とうとう終わりね」
「そうですね。あっという間でしたね」
達哉と夫人が会話する。そして夫人が一瞬私に目配せした。え、なに? 夫人は再び達哉を見上げる。
「そうそう、写真なんだけどね、帰国したら現像してお渡ししたいの。新條さん、連絡先、教えてくださる? ご住所教えていただければ郵送するから」