いきなりプロポーズ!?
「た、達哉? あの私の」
「一応ああ言っとかないとあれだろ。帰国して鈴木さんから連絡来たら、愛弓とは別れたってごまかしとくから」
「あ……うん」
そして私のテンションは一気に急降下して、心のジェットコースターはレールを外れて奈落の底に向かっていく。
「あ、搭乗のアナウンスだ。行こう、愛弓」
「……うん」
達哉のあとについて搭乗ゲートに向かう。飛行機に乗り込む。来た時と同じ窓側の席、となりには達哉。このフライトで達哉とは本当にお別れだ。達哉に告白するなら今しかない。でも勇気がない。私の頭の中に一輪の白いマーガレットが現れた。告白する、しない、する、しない、する、しない……。
よし! するっ!!
「た、達哉!」
「なに」
「あ、あの達哉、私……その」
「ん? 機内食か? 食わないなら俺が」
「そうじゃなくて私!」
ブブブブ、ぐぐぐぐ。機体が轟音を響かせた。離陸だ。
「す……」
「ほら離陸するぞ」
「あ、うん」
達哉は前を向いた。背にGを感じて私も前を向いた。この瞬間は得意ではない。機体とともに自分の体がバラバラ分解してしまったらどうしよう、と不安になるから。ふわり、機体が機首を上げて宙に浮く。
「で、なに。愛弓」
「な……なんでもない」
「そ」
結局、タイミングを逃して、言い損ねてしまった。