いきなりプロポーズ!?

……眠い。でもコイツの隣で寝るのもなんとなくはばかられる。でも寝ないと生きてはいゆけない。でもコイツがいる。でも寝ないと。堂々巡りに更に睡眠欲はエスカレートする。脳内にマーガレットの白い花が現れた。その花びらを一枚ずつ摘まんで引き抜く。寝る、寝ない、寝る、寝ない、寝る……。花びら占いだ。私は迷ったときはこれを脳内でやる。


「半漁人みたいな顔してどうかしたか?」
「え?」
「早く寝ろよ。眠いんだろ?」
「そうだけど。シャワー浴びたいし」
「なんなら一緒に入る?」
「バカ!」


 一気に目が覚めた。その途端に途中だった花びら占いのマーガレットもパーンと散れた。脳内に花吹雪が舞う。


「ねえ、カギ!」


 私は手を達哉に差し出した。ずん!


「なんで? シャワーと鍵、なんの関係があんの」
「シャワー浴びてる間は外にいてよ。終わったら入れてあげる」
「なんだよそれ。別にのぞかねえから入りゃいいじゃん?」
「信用できない。ほらカギ」
「はいはい。じゃ、その前に」


 奴はそういうと浴室に向かう。


「ちょ、ちょっと! なんで達哉が先に入るの??」


 スリッパを脱いで浴室に入ると、奴はシャワーの蛇口を捻った。上から降り注ぐ水にぬれないようにすぐにひょいと浴室を出る。そして脱衣所から手を伸ばし、シャワーヘッドから放出された水に手を当てた。


「お湯、出るみたいだな」


 シャワーの水滴から湯気が出た。


「よく海外のホテルだと出ないことが多いから確認しただけ。お湯が出なかったらお前の英語力じゃどうにもなんねえだろ。裸で廊下に出られても俺も困るし。じゃ」



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