いきなりプロポーズ!?
§3 オーロラって素晴らしい?
 やばい……寝過した! 私はスマホにアラームをかけていたにもかかわらず、夕食前の19時半に目が覚めなかった。それもそのはず、スマホの電源が切れていたのだ。なんたる失敗。リリリーン、リリリーンという昔懐かしいベル音で熟睡の世界から現実に呼び戻された。重たい瞼をどうにかこうにかして開けて、その音の元を目で捜す。それがベッドとベッドの間にある電話だと判明してベル音が途切れた時には達哉が受話器を取っていた。奴も目が半分しか開いていない。白いバスローブははだけて逞しい胸板がちらりと覗けた。腹筋も割れてそうだ。そんな状況だから私の体は無事だろう。一応パンツに手をやるけどちゃんとはいている。よし。

 達哉が、イエス、とかなんとか流暢な英語をひけらかして応答していると、突然日本語になった。


「ああっ! すぐ行きます!」


と、ガチャン。達也は受話器を置いた。


「どうしたの、何かあったの?」


 私は眠い目を擦って達哉の顔を見る。

 奴は飛び起きてバスローブをはいだ。浅黒い肌、熱い胸板、私のウェストはありそうな太腿。性格はどうでも体格は立派だ……と、見とれている場合じゃない。こんなところでヌードショーなんて!


「ちょっと! 全裸でなにすんの」
「バカ! お前も早くきがえろよ」
「気がエロ? エロはあんたでしょ」
「はああ? 夕飯、片づけられちまう」
「え? ええっ!」


 時計を見れば20時半。私も飛び起きた。その場でルームワンピースを脱ごうとしたけど咳ばらいが聞こえて、カバン丸ごと抱え込んで、バスルームに飛び込んだ。バサッと脱いでブラをつけてカットソーを被る。こういうとき貧乳はありがたい。胸でつっかえて脱げないということはないからだ。細身のジーンズをはいて振りかえり、鏡を見た。ボサボサの髪をブラシで整える。


「ほら急げよ」


 ノックもせずにドアを開けられた。

 
「ちょ、ノックぐらいして!」
「そんなもんいいだろ。早くしろよ」
「だってまだお化粧も」
「そんな顔で化粧しても変わんねえわ」


 失礼だ。こんな状況でも達哉のイヤミは脳に届く。


「なら先に行ってよ」
「先に行けるかよ、お前ひとりおいて」
「え?」
「何期待してんだよ。恋人同士なんだから一応。おいてったら変だろバカ」


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