いきなりプロポーズ!?
達哉はチグハグにはまって上がらないファスナーを見つけた。
「これね。よくあるんだよ、こういうの」
達哉はしゃがむと私のファスナーに手をやった。ファスナーの金具を軽くひねりながら留め、ジャルジャルと音を立ててファスナーを締めた。あっという間に金具が私の胸元まで上がる。こういうのって男の人はお得意だよな、と眺めていた。でもホッとした。もしファスナーが上がらなかったら神山さんに申し出て取り替えてもらって、なんてやっていたらバスの発車を遅らせてしまう。達哉は上を向いた。目が合う。まったく、と言いそうな少しはにかんだ笑顔で。
「ほら、はい」
「あ、ありがと……」
「いや。あのさ」
やっぱりいい奴なんだろうか。性悪変態巨乳大好き露出狂男とインプットして悪かったと反省をした。
しかし達哉は肩を振るわせて笑い始めた。
「な、なに?」
「ほんと胸ねえのな。ええ?」
「ええって?」
「カップ。Aカップ?」
私の頭の中は再びグツグツと煮え始めた。奴の手はファスナーを留めるときに胸の上を通過した。そのときに何気なく大きさをチェックしてたとは……どっかーん!、と私の頭の中で火山は噴火した。ハワイのキラウェア火山級だ。噴石と溶岩を惜しみなく放出する。
「最低! え、Aカップなわけないでしょ?」