いきなりプロポーズ!?
本当にテレビで見るような光のカーテンが地球上に現れるんだろうか。今ですら十分神秘的だと思うけど、まやかしじゃなかろうかとさえ思う。
キャビンは絵本に出てくるようなイエローオーカーの丸太小屋、玄関前に取りつけられた階段が4段あった。それをトントンとのぼってとりあえず室内に入る。ちょっと大きめの平屋の作りで、左手には黒いまきストーブ、右には工事現場で見かけるような円柱形のストーブがあった。中央にはダイニングテーブルが一つ、壁際には公園のベンチほどの長椅子がぐるりと囲んでいる。テーブルの上には電気ケトル、ティーバッグの入ったガラスのキャニスターが二つ、粉ココアの缶、マグカップなどがテーブルマットの上にこじんまりとおかれていた。ごうごうと焚かれた火のせいで室内は暖かい。ジャケットは脱げそうだ。私はファスナーを指でつまんだ。じゃじゃーっと下まで持っていく。外そうとしたところで手を止めた。
いや待て。このファスナーは不良品。これを外してしまったら自分ではファスナーを上げられない。これを着るにはまた誰かのお世話にならなければいけない。さっきみたいに達哉か誰かにくいっと上げてもらわねばならない。なんとなく躊躇してしまう。でも暑い。でも脱いだあと手伝ってもらうのもイヤ。暑い。イヤ。暑い。イヤ。頭の中でマーガレットの白い花びらを一枚一枚はいで散らす。どっちにしよう。そんなことを脳内で繰り返していると金具を持っていた指を上からつかまれた。
「何してんの、お前」
目の前には達哉の顔。
「ぎゃ、な、なに!」
「脱げよ。てか、外すときも不良品か?」
「違う。だって」
また助けてもらうのも癪だと言えず、口ごもる。子どものケンカみたいじゃないか。
「暑いときは脱いでおかないと汗かいて外で冷えるぞ」
「うん。そうだね」
「ほら」
達哉はファスナーを外すと大きな手を私の顔にやった。フードの縁をつまむと頭から外して襟首を持ち、脱がせようとその手を私の後方に伸ばす。目の前には奴の胸。近い……。
キャビンは絵本に出てくるようなイエローオーカーの丸太小屋、玄関前に取りつけられた階段が4段あった。それをトントンとのぼってとりあえず室内に入る。ちょっと大きめの平屋の作りで、左手には黒いまきストーブ、右には工事現場で見かけるような円柱形のストーブがあった。中央にはダイニングテーブルが一つ、壁際には公園のベンチほどの長椅子がぐるりと囲んでいる。テーブルの上には電気ケトル、ティーバッグの入ったガラスのキャニスターが二つ、粉ココアの缶、マグカップなどがテーブルマットの上にこじんまりとおかれていた。ごうごうと焚かれた火のせいで室内は暖かい。ジャケットは脱げそうだ。私はファスナーを指でつまんだ。じゃじゃーっと下まで持っていく。外そうとしたところで手を止めた。
いや待て。このファスナーは不良品。これを外してしまったら自分ではファスナーを上げられない。これを着るにはまた誰かのお世話にならなければいけない。さっきみたいに達哉か誰かにくいっと上げてもらわねばならない。なんとなく躊躇してしまう。でも暑い。でも脱いだあと手伝ってもらうのもイヤ。暑い。イヤ。暑い。イヤ。頭の中でマーガレットの白い花びらを一枚一枚はいで散らす。どっちにしよう。そんなことを脳内で繰り返していると金具を持っていた指を上からつかまれた。
「何してんの、お前」
目の前には達哉の顔。
「ぎゃ、な、なに!」
「脱げよ。てか、外すときも不良品か?」
「違う。だって」
また助けてもらうのも癪だと言えず、口ごもる。子どものケンカみたいじゃないか。
「暑いときは脱いでおかないと汗かいて外で冷えるぞ」
「うん。そうだね」
「ほら」
達哉はファスナーを外すと大きな手を私の顔にやった。フードの縁をつまむと頭から外して襟首を持ち、脱がせようとその手を私の後方に伸ばす。目の前には奴の胸。近い……。