いきなりプロポーズ!?
不覚にもドキドキ……する。だって抱きしめられる錯覚をおこしたから。
な、何を私は反応してるんだ。違う。これはただ達哉を警戒しているだけだ。こんなアホ男にいつ何をされるか分からないからだ。私は頭をブンブンと横に振った。そんな私を見て達哉はあきれ顔をした。
キャビンのオーナーは地元住民らしいが、日本人を相手にするからか上手な日本語で説明してくれた。ドリンクはセルフで飲み放題。アルコールとカップめんはオーダー制で有料。プロカメラマンによる撮影は1枚20ドル。それを聞くと皆はオーロラ観賞初日とあって、張り切って外に出て行った。それぞれに三脚とカメラを持って意気揚々と飛び出していく。私はそれをぼんやりと眺めていた。
「お前、外に行かないの?」
「だってまだオーロラ出てないっぽいし」
「そだな。なんか飲むか」
スカイブルーのジャケットを脇に抱えてテーブルのそばに行き、キャニスターの蓋をパカリと開けた。瞬時にハーブの香りが鼻をつく。ハーブティーだ。思わずにんまりした。ティーバッグを取り出してマグカップに置く。奴はココアの缶を手にした。それぞれに電気ケトルからお湯を注ぐ。そして壁際のベンチに座った。
「お前さ、なんでここに来たの?」
「だから失恋旅行」
「それは知ってるよ。なんでアラスカフェアバンクスなわけ」
「オーロラを見ると世界観が変わるよって元カレに言われて」
「ナニ、その元彼に言われてこのツアー選んだのかよ、お前」
「お前じゃなくて」
「愛弓」
「呼び捨てにしないで」
「じゃあ、愛弓サン」
まっすぐに見つめられて焦る。だって元カレの松田さんは私のことをさん付けで呼んでいたから。なんとなく重ねてしまう。背格好も雰囲気も似ているし。再び私はどきどきした。私の目の前にいるのは松田さんじゃないのに、胸がかき乱される。
「やっぱり愛弓でいい」
「なんだよ、結局」
な、何を私は反応してるんだ。違う。これはただ達哉を警戒しているだけだ。こんなアホ男にいつ何をされるか分からないからだ。私は頭をブンブンと横に振った。そんな私を見て達哉はあきれ顔をした。
キャビンのオーナーは地元住民らしいが、日本人を相手にするからか上手な日本語で説明してくれた。ドリンクはセルフで飲み放題。アルコールとカップめんはオーダー制で有料。プロカメラマンによる撮影は1枚20ドル。それを聞くと皆はオーロラ観賞初日とあって、張り切って外に出て行った。それぞれに三脚とカメラを持って意気揚々と飛び出していく。私はそれをぼんやりと眺めていた。
「お前、外に行かないの?」
「だってまだオーロラ出てないっぽいし」
「そだな。なんか飲むか」
スカイブルーのジャケットを脇に抱えてテーブルのそばに行き、キャニスターの蓋をパカリと開けた。瞬時にハーブの香りが鼻をつく。ハーブティーだ。思わずにんまりした。ティーバッグを取り出してマグカップに置く。奴はココアの缶を手にした。それぞれに電気ケトルからお湯を注ぐ。そして壁際のベンチに座った。
「お前さ、なんでここに来たの?」
「だから失恋旅行」
「それは知ってるよ。なんでアラスカフェアバンクスなわけ」
「オーロラを見ると世界観が変わるよって元カレに言われて」
「ナニ、その元彼に言われてこのツアー選んだのかよ、お前」
「お前じゃなくて」
「愛弓」
「呼び捨てにしないで」
「じゃあ、愛弓サン」
まっすぐに見つめられて焦る。だって元カレの松田さんは私のことをさん付けで呼んでいたから。なんとなく重ねてしまう。背格好も雰囲気も似ているし。再び私はどきどきした。私の目の前にいるのは松田さんじゃないのに、胸がかき乱される。
「やっぱり愛弓でいい」
「なんだよ、結局」