いきなりプロポーズ!?
……ピチピチピチピチ。小鳥の声で目が覚める。爽やかな朝だ。
「ん?」
目慣れない天井、暗い部屋。どこだ、ここ。こんなによく寝たのにまだ夜だ。夜なら小鳥がさえずるはずもない。ふと目を横にやると大きなベッド、ベッドの上にはトランクス。トランクス??
トランクス放置=全裸の男。
「ぎゃああああっ!」
あ……そうだった、思い出した。オーロラを見にアラスカに来たんだった。で、同じくひとり旅なアホ男と同室になってしまって、今に至る。私は手を着ていたルームワンピースのすそにやった。下着ははいている、私の体は無事だ。ほっとして起き上がる。ピチピチピチピチという音はバスルームから聞こえる水音のようだ。時計を見る。9時。ここは北極圏間近の地、しかも傾いた地軸が太陽とは反対に向いている冬。朝は遅い。確か日の出は11時過ぎだと神山さんが言っていた。
「おう。起きたか」
「ぎゃあっ!☆★※@%$●○!!」
バスルームから出てきたのは全裸の男。頭にバスタオルを乗せ、その上から両手でガシガシと髪を拭いていた。部屋は暗くてバスルームは明かりがついていたから逆光で詳しくは見えないのがせめてもの救いだ。全裸男はのそりのそりとベッドに近寄り、タオルを向こうのソファに投げるとトランクスを拾い上げてはいた。
「何見てんだよ、痴女」
「ぜ、全裸で部屋をうろつかないでよ!」
「気になるわけ、おれのイチモツが」
「気にならないわよ!」
と言ったら、正直嘘である。それはさておき、トランクス男は濡れた短髪の黒髪をかき上げて私を見つめた。
「お前も早く起きろよ、朝飯10時までだし。それすぎると有料のランチだし。朝からステーキサンドとかマジ勘弁だろ?」
「あ、うん。起きる」
「お前、食べ物のことになると素直なのな」