いきなりプロポーズ!?
 なんでそんな顔をするのか分からなかった。言い過ぎたつもりもない。こんな私にやきもちを妬くはずもないのに。


「……比べられても意味ねーし。愛弓の恋人になりたいわけじゃなし。貧乳もタイプじゃないし」


 あーっ、心配して損した! 直感を信じて選んだツアーは傷に塩振るだけだったかもしれない。こんな男と同室で、更に暴言吐かれて、いいことなんて何もない。ツアー代金、返してほしい。

 フレッドマイヤーというスーパーに着いた。雪原にででーんとそびえ立つコンクリート、2階建てっぽい。開いた自動ドアに吸い込まれるように中に入ると、あまりの広さに唖然とした。白い鉄柱と高い天井は倉庫のよう。どこまで続いてるのか分からないほどの奥行き。神山さんが言ってたように大型のスーパーマーケットだった。日用品や衣料品もあるみたい。達哉は柱の色とお揃いの白いカートを手にすると看板を見て店の中央に向かっていった。行先は食料品らしい。まずは食べ物を漁る。生鮮コーナーにはたくさんの果物や野菜がならぶ。カボチャは黄色やオレンジのも混じりカラフルで華やかだ。達哉はバナナをカートに放り込む。私も真似してリンゴを入れた。そして達哉はカートを押してデリカコーナーに向かった。手軽に食べられる物を探す。お寿司なんかもあって私はそれをカートに入れた。次に生野菜サラダを手にしたけれど、サイズはアメリカンでとても一人では食べきれそうもない。ふう、とため息をついて棚に戻そうとした。


「シェアして食うか?」
「うん!」
「そのかわり、これも手伝え」
「ええっ?」


 達哉が手にしていたのはホールのチーズケーキ。となりのショーケースにはケーキが並んでいた。生クリームたっぷりのショートケーキもあれば、毒でも盛られてそうな水色や緑色のクリームがこんもりと乗っているカラフルケーキもあった。さすがに一人では食べきれないと判断したんだろう。


「しょうがないから、付き合ってあげる」
「可愛くねーわ、マジで」


 達哉は口ではそう言いながらも笑いながらケーキをカートに乗せた。


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