いきなりプロポーズ!?
 スーパーなのにいろんなものがある。釣り具、サンダル、Tシャツ。シロクマをかたどったマグネットもかわいい。これならお土産にもいい。広くていろんなものがあってまるでテーマパークみたいだ。時間がどんなにあっても足りない。

 そろそろ達哉のいる食料品売り場に戻ろう。たしかお店の中央だったはず。途中いろんなものが目に入る。ロブスター、アサリ、かき、アラスカサーモン、大きなロブスター。お肉は塊で並んでいる。さすがアメリカ! このままがっつりかぶりつきたい。

 なあんて、感動していると。


「ん……あれ?」


 行けども行けどもさっき達哉と別れたところに行けない。もう向こうは衣料品だし。振り返るといるのは地元のアメリカ人。ひょっとして迷ってしまった?! どうしよう……。

 こいういうとき日本ならサービスカウンターに駆け込んで「迷子です! 私は真田愛弓といいますっ、連れの新條達哉を呼び出ししてください!」と訴えればいい。でもここはアラスカ・フェアバンクス、公用語は英語。その前にサービスカウンターなんてあるのか、あってもそこまでどうやってたどり着けばいいのか。だんだん心細くなってきた。気分は迷子だ。というか本当に迷子なんだけど。

 陳列棚ふたつむこうでざわざわしていた。現地の人が数人、きょろきょろしている。背も高いし横幅もある体格。なんか物騒な気配……強盗だったらどうしよう!


「ぬ?」


 その人々の間から出てきたのは赤い帽子。


「愛弓!」


 達哉だった。その人たちと少し会話をして、その現地の人がニコニコしながら拍手をしてして、あれ、さっきまでの物騒な雰囲気はだったんだろう。

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