いきなりプロポーズ!?
「同じ年上でもこうも違うとはね、チンチクリンで色気もねえわ胸もねえわ」
「胸と年齢は関係ないでしょ。ほっといて」
私はぷうとふくれっ面をした。達哉は笑ってワインを煽る。
「で。なんてプロポーズしたの?」
「聞きたい?」
正面の棚を向いていた達哉は突然こっちに顔を向けた。左手で頬杖をつき、首をかしげるように曲げて私の瞳をのぞきこむ。口元は少し微笑んで、優しく見つめる……。あ、ダメだ、こんなのズルイ。一網打尽、百発百中、蛇に睨まれたカエル、福山雅治に見つめられた専業主婦、松潤に迫られた一般ピープル。私の心臓がどくんどくんと音を立てる。
達哉はワイングラスをカウンターに置き、右手をゆっくりと私のほうに伸ばしてきた。その指先が私の頬を掠める。その瞬間に私の体はピクリとした。思わず後ずさる。
「……や」
「逃げるなよ。聞きたいっていったのお前だろ」
「だ……って……」
鼻を鳴らしてふっと笑う奴。手が私の頬に届かなくて奴はスツールを移動して私のすぐ横に来た。
至近距離なんてもんじゃない。目の前に達哉の顔。見つめられて射抜かれたように動けなくなる。そして達哉は右手を私の頬に当てて、指で耳の後ろをなぞった。背筋がゾクリとする。
駄目……。私は精いっぱいの力を振り絞って顔を下に向けた。でも達哉は私の頬に当てていた手でグイと私の顔を戻した。再び目の前には奴の顔。
「結婚しよう。元カレなんて忘れさせてやるから」