いきなりプロポーズ!?
とにかく達哉の前から逃げたかった。眠いわけでもなかったけど、私はサラダを飲み込むように平らげてベッドにもぐった。
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ホテルのレストランで夕食を取った。今夜のメニューはボイルしただけのタラバガニとポテトフライ、ツナメルト。ひとつのプレートにそれらがどかんと乗っていた。カニは太い足の部分が3本、厚くスライスされたバゲットにツナとチーズがとろりととけてバゲットからこぼれている。プレートが届いたテーブルからはあまりのボリュームに歓声が上がっていた。大皿にどかんと盛られて見た目は豪快だったが、味は良かった。テーブルで達哉とふたり、向かいあって座り、それを食べる。ゆで上げたばかりのカニからは湯気が立ち上り、殻をむくのに火傷しそうなほどだった。カニの殻が硬くて悪戦苦闘していると達哉は手を伸ばし私からカニの足を奪うとぱつんと殻を切ってくれた。達哉の掌は大きい。指もごつごつして男の人の指だって思う。
「はい」
「あ、ありがと」
「いや。力だけはあるから」
「ほ、ホントに馬鹿力……あ!」
カタン。その指先に自分の指が触れて、つい、カニを落としてしまった。ぎりぎりプレートの縁にのっかってセーフだった。
「ご、ごめんね。結構熱くて」
「ああ」
「お、美味しいね」
「ああ」
会話は続かなくてどこかぎこちなかった。私は何を意識してるんだろう。