いきなりプロポーズ!?


「ええ! 是非お願いします。心細かったんです。こちらに詳しい神山さんとなら心強いですし」
「うれしいです」


 神山さんはにっこり笑うとボーイにtwo!と伝える。ふん、私だってまんざらではない。こうして知らない土地で声をかけてくれる殿方がいるんだから。ボーイの後ろをついていく。でもすぐにボーイは立ち止まった。


「Would you like to take a seat at that table?」
「真田さん、“席はこちらでいいですか?”」


 ボーイがにこやかに言うと、神山さんはうなずいて、そのあと私の顔を見てちゃんと内容を伝えてくれた。フェミニストだと思う。彼に対する好感度は上がった。達哉だったら私に聞くことなく座っただろう、有無を言わさずだ。達哉の方を見ると、取り分けてきた食事を席に運んで着席しているところだった。私には気づいていない。距離もあるし間に何席もあって、これでは達哉に私もモテることを見せつけられない。


「窓側の席がいいんですけど」
「分かりました。でもいいんですか? 新條様のお近くになりますよ?」
「いいんです(むしろ!)」
「Can I take a table by the window?」


 神山さんがボーイに伝える。ボーイは横目で窓側の空席を探し、ひとつ見つけるとそこに私たちを案内した。達哉のいるテーブルをガン見しながら歩く。今度は向かいに座っていた金髪ボーイッシュCが達哉のプレートにバターを乗せた。ボーイが椅子を引いたところで達哉はようやく私に気付いた。その途端に表情を変えた。へらへらしていたイケメンは怖い顔で私たちを見る。大きな瞳で私にギロリ、次に神山さんにギロリ。


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