いきなりプロポーズ!?
「神山さん! 昨日、招待状ありがとうございましたっ。すっごく楽しみなんですけど!!」
私はわざとと何のテーブルに聞こえるように言った。驚いたのは目の前の神山さんである。神山さんは慌ててきょろきょろした。だって私の声の大きさは10メートル先のスタッフにも聞こえたらしい、こちらを振り返って見ていたから。
「は、ははは、はは。声が大きいですよ、真田さん」
「神山さん、下の名前でいいですよっ、愛弓です、あーゆーみー!」
「さ、真田さん」
「あゆみって呼んでください! 減るもんじゃないし!」
達哉に向かって、ふん!、と鼻を鳴らした。
「は、はい……愛弓さん」
神山さんは頬を赤くしてはにかむように言った。横を見れば達哉の目はきつくなった。私のキンキン声が頭に響いたんだろう。ギロリギロリと私をにらんだ。
「タツヤさぁん、パンケーキ食べますぅ?」と甘い声を発してきたのはゴスロリB。自分のプレートにあったパンケーキを切り分けるとフォークで刺し、テーブル向かいの達哉の口の前に出しだした。これは間接キスと判断していいだろう。達哉の反応をうかがう。
「いや。それは」
「あ、ほら、はちみつが垂れちゃいますぅ、早く!」
それははちみつじゃない、メイプルシロップだと脳内で突っ込んだ。いや待て、それどころじゃない。それを食べてしまったらロリと間接キスだ。彼女はかわいいふりして強引に恋愛に持っていくタイプに違いない。間接キスしたから直接キスもいいですよねって迫られたらどうするの? 食べちゃダメ、お願い、と心の中で祈る。しかし。