もう一度・・あなたと
訓練から一年過ぎる時には
飛鳥は、かなり安定した
歩行も出来るようになっていた。
手の方は、
スプーンは、少しずつ使えるが
はしとフォークは、上手くつかえない。
言語は、まだ、カタコトだけど
かなり、理解できるようになった。
ある日の夜
言語の訓練中に
飛鳥が、ゆっくり語り出す
「レン、あのときは、本当に
傷つけて、ごめん。
なぜ、あんな行動をしたのか
何度も、何度も考えた。
でも、わからないんだ。
ただ、レンの気持ちを
無視した、自分の行動を
どんなに、罵ったか
でも、俺が、レンを傷つけた
罪は、どうやっても、消えない
あのまま、
死ねば良かったのかもしれないが
やはり、レンのそばに居たかった。
レンのそばで、生き返りたかった。
俺を許してほしいとは、言えないけど
俺が、そばにいることを
拒まないで
こんな、気持ち悪い
俺を、拒まないで」
と、飛鳥は涙を流した。
彼は、私のせいで命を縮めようとしたの?
バカだ、飛鳥は‥‥‥
私みたいな女に囚われて
と、頭の中で思いながら
私は、飛鳥をそっと抱き締めた。
飛鳥は、振るえながら
私の腰に腕を回して
「でも、俺が脳腫瘍に
侵されたのは、そういう定めで
レンと再会させてくれる
道しるべだったんだ。」
と、長い時間をかけて言った。