イイコでしょ?
歌い終わるまで、目が離せずにいた。
どこか儚げな表情で歌う彼女は、何を思ってるんだろう。
街灯の灯りでぼんやりと浮かび上がった彼女は、歌い終えると、俺と同じようにため息をついて夜空を見上げていた。
・
・
不意に目が合う。
少し目を見開いた彼女だったけど、お互いなぜか視線を外す事はなくて。
俺をジーっと見つめては、人差し指と親指で四角を作って、その中に俺を入れて眺めていた。
「えっ?」
思わず声が出る。
彼女がニコッと微笑んだから。
視線を先に外したのは俺で、その笑顔にドキっとしてしまったから。
手で口を覆って、目の前の池に目をやると、リリが小さく吠えた。
なんだったんだ…今の。
外国に居た頃は、他人に笑顔を向けるなんて事は当たり前だったけど…
彼女が俺に向ける笑顔の意味が分からず、もう一度その場所に顔を向けてみる。
けど…
「…居ない?」
と、小さく呟くと、
「だれが?」
背後から聞こえた声に、心臓が止まりそうなくらい驚き、うわぁ!と叫んでしまった。
「驚き過ぎ」
リードを引っ張られたリリも驚いてワンワン吠えていた。
振り返らないままに、彼女は俺の横に自然と座り込んで、持っていたギターを横に立て掛けると、また指で作った四角で俺を見た。
「えっ?なに?それ。」
「んー。うん。気にしないで?」
変なコ。
首を傾げながらズレた尻を座り直して、リリを膝に乗せ頭を撫でて落ち着かせてやる。
・
・
・
「なんて名前?」
「俺?」
「違う、ワンちゃん。」
犬かよ…と思いながらも答えてやる。
「リリ。」
「ふーん。可愛いね。」
静かに流れる、時間。
寒いし、帰ればいいのに。
なんでか動かなくて。
二人黙って夜空を見上げた。
・
・
・
どこか儚げな表情で歌う彼女は、何を思ってるんだろう。
街灯の灯りでぼんやりと浮かび上がった彼女は、歌い終えると、俺と同じようにため息をついて夜空を見上げていた。
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不意に目が合う。
少し目を見開いた彼女だったけど、お互いなぜか視線を外す事はなくて。
俺をジーっと見つめては、人差し指と親指で四角を作って、その中に俺を入れて眺めていた。
「えっ?」
思わず声が出る。
彼女がニコッと微笑んだから。
視線を先に外したのは俺で、その笑顔にドキっとしてしまったから。
手で口を覆って、目の前の池に目をやると、リリが小さく吠えた。
なんだったんだ…今の。
外国に居た頃は、他人に笑顔を向けるなんて事は当たり前だったけど…
彼女が俺に向ける笑顔の意味が分からず、もう一度その場所に顔を向けてみる。
けど…
「…居ない?」
と、小さく呟くと、
「だれが?」
背後から聞こえた声に、心臓が止まりそうなくらい驚き、うわぁ!と叫んでしまった。
「驚き過ぎ」
リードを引っ張られたリリも驚いてワンワン吠えていた。
振り返らないままに、彼女は俺の横に自然と座り込んで、持っていたギターを横に立て掛けると、また指で作った四角で俺を見た。
「えっ?なに?それ。」
「んー。うん。気にしないで?」
変なコ。
首を傾げながらズレた尻を座り直して、リリを膝に乗せ頭を撫でて落ち着かせてやる。
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「なんて名前?」
「俺?」
「違う、ワンちゃん。」
犬かよ…と思いながらも答えてやる。
「リリ。」
「ふーん。可愛いね。」
静かに流れる、時間。
寒いし、帰ればいいのに。
なんでか動かなくて。
二人黙って夜空を見上げた。
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