イイコでしょ?
・
・
・
「何、言ってんの?」
「言葉の通りよ。あなと別れて仕事ばかりしてたら恋人も出来なくなっちゃって。知ってる?女だって溜まるのよ?」
もたつく指に苛立ちながらも、一つ二つ、ボタンは外れていく。
「…。」
「どうせ夫婦仲もよくないみたいだし、あなたも溜まってるんじゃない?」
「…由香。」
「お互い利害関係は一致してるはずよ?ここはNY。まずバレる心配はない。だから…」
「由香!」
強く名前を呼ばれ、ボタンを外そうと足掻いていた手をぎゅっと掴まれた。
その手にはしっかりと、日本の彼女へと繋がるシルバーリングがはめられていた。
「どうした…らしくねぇ。」
あぁ…私今すごく困らせてる。
付き合っていた頃よりもずっとずっと。
「なんか、嫌な事でもあったのか?酔ってんじゃん。」
そんなんじゃないの。
今でもあなたが好きで仕方ないの。
もう一度、あの頃のように優しく抱いてくれたら、忘れるから。
…そう目で訴えてみるけど。
「俺はもう、話聞いてやるくらいしか出来ねぇけど。」
そう言って、自分が着ていたカーディガンを私の肩にそっと掛けてくれた。
・
・
・
噂なんて嘘っぱち。
夫婦仲が悪いなんて、誰が言い始めたのか。
翔くんがあの子を大切に想う気持ち、私には手に取るように分かった。
悔しいぐらいに彼の気持ちを独り占めして。
最初は憎かった。
彼の為に別れて、彼を支える為に必死に追いつこうと仕事を頑張って。
やっとの事で秘書という地位で彼を支えて行けると思ったら、見計らったように現れたの。
好きな人の恋に落ちる姿なんて、相手が自分じゃない限り、見たくないに決まってるじゃない。
神様は私の事が嫌いみたい。
あっけなく二人は結婚してしまって、私に入る隙さえも与えてはくれなかった。
宙ぶらりんになってしまった私の心。
既婚者になってしまったという事実が私をずっと苦しめて来た。
彼の為に就いた秘書という地位が、今じゃ邪魔でしょうがない。
毎日顔を合わせてしまうから、諦めたくても諦めきれなくて、恋する彼の顔を毎日見るのがどうしようもなく辛かった。
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「何、言ってんの?」
「言葉の通りよ。あなと別れて仕事ばかりしてたら恋人も出来なくなっちゃって。知ってる?女だって溜まるのよ?」
もたつく指に苛立ちながらも、一つ二つ、ボタンは外れていく。
「…。」
「どうせ夫婦仲もよくないみたいだし、あなたも溜まってるんじゃない?」
「…由香。」
「お互い利害関係は一致してるはずよ?ここはNY。まずバレる心配はない。だから…」
「由香!」
強く名前を呼ばれ、ボタンを外そうと足掻いていた手をぎゅっと掴まれた。
その手にはしっかりと、日本の彼女へと繋がるシルバーリングがはめられていた。
「どうした…らしくねぇ。」
あぁ…私今すごく困らせてる。
付き合っていた頃よりもずっとずっと。
「なんか、嫌な事でもあったのか?酔ってんじゃん。」
そんなんじゃないの。
今でもあなたが好きで仕方ないの。
もう一度、あの頃のように優しく抱いてくれたら、忘れるから。
…そう目で訴えてみるけど。
「俺はもう、話聞いてやるくらいしか出来ねぇけど。」
そう言って、自分が着ていたカーディガンを私の肩にそっと掛けてくれた。
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噂なんて嘘っぱち。
夫婦仲が悪いなんて、誰が言い始めたのか。
翔くんがあの子を大切に想う気持ち、私には手に取るように分かった。
悔しいぐらいに彼の気持ちを独り占めして。
最初は憎かった。
彼の為に別れて、彼を支える為に必死に追いつこうと仕事を頑張って。
やっとの事で秘書という地位で彼を支えて行けると思ったら、見計らったように現れたの。
好きな人の恋に落ちる姿なんて、相手が自分じゃない限り、見たくないに決まってるじゃない。
神様は私の事が嫌いみたい。
あっけなく二人は結婚してしまって、私に入る隙さえも与えてはくれなかった。
宙ぶらりんになってしまった私の心。
既婚者になってしまったという事実が私をずっと苦しめて来た。
彼の為に就いた秘書という地位が、今じゃ邪魔でしょうがない。
毎日顔を合わせてしまうから、諦めたくても諦めきれなくて、恋する彼の顔を毎日見るのがどうしようもなく辛かった。