イイコでしょ?
第二章
すごくあったかい。




これが家庭。




これが家族。




家全体が幸せで包まれていて、眩暈がしそう。





二人のやり取りを見てるだけで、自然と笑みが零れてしまう。




「お二人は、喧嘩とかしないんですか?」





忘れてたお茶を持って来てくれた優子さんに尋ねると、再び向かいに腰を下ろして話し始めた。





「喧嘩なんてしょっちゅうするよ?」





向こうでテレビを見ている松本さんに聞こえないように、声のトーンを落として顔を顰めながら答える優子さん。





「基本的に私が怒って新くんが謝ってくるんだけどね?」





松本さんが優子さんに頭を下げてる姿を想像すると、可笑しくってクスクスと二人で笑ってしまった。





「可笑しいでしょ?あんな濃い顔して、ごめんね~ゆうちゃ~ん♡って言ってチューしまくるんだよ、こわぁーい♪」





「マジですか、それ今度ムービーで…」





「おい!濃い顔は関係ねぇだろ!」





「キレるとこソコ?」









なんて言うのかな。




会社では見せない松本さんの顔がそこにはあって、それは優子さんが引き出してくれてるんだ。





あったかい笑顔が咲いて、




あったかい家庭になって、




あったかい家族になる。





どうしていいかわかんなくて、藻掻いていた私の心が、そっと癒された。









私も…こんな家庭を築きたい。





愛し愛されて、



互いを想いあって、



尊敬し合える夫婦。






嘘で塗り固めた夫婦に、そんな事を願う資格なんてないのかも知れない。





だったら私はどうするべき?












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