イイコでしょ?
「仕事休んで、目充血させてる理由は聞かねえけどさ…」
松本さんの車の助手席は、妊婦の優子さんが座りやすいように、シートが少し倒してあった。
松本さんに言われて初めて、目の充血が収まってない事を知る。
車は向かう。
私の居場所なのか…断言できない家へ。
「何かあったら、また家来いよ。優子も美希の事気に入ったみたいだし。」
「…うん。ありがと。」
小さく呟いた。
車がマンションに近づくにつれて、落ち着かなくなって、髪を触ってみたり、顔を触ってみたり…
「電話した?」
「えっ?あぁ…さっき車待ってる時。」
「そう。」
時計はすでに11時。
さすがにこれは…と思い、松本さんが車を回してくる間に勇気を出して成瀬さんに電話してみた。
すごく淡々としていて、怒ってるのか怒ってないのか、どうでもいいのかも判断出来ないくらい淡々としていた。
それが余計に不安に感じた。
一駅分の距離は、車で行くと10分程にしかならず、私がゴソゴソしている間にマンション前に到着してしまった。
車が停車すると、はぁ…と小さくため息を漏らす。
「おいおい、家帰るのにため息つくなよ。ほんと大丈夫か?」
心配そうな顔をした松本さんに気付いて、慌てて笑顔を作った。
「うん!全然大丈夫!今日はほんとありがとう!優子さんにもお礼言っておいて?」
「ん?…おう。てか…迎えに来てるぞ。」
松本さんが私の後ろに視線を向けながら言った。
ハッとして振り返ると、ジーパンTシャツ姿の成瀬さんがマンションから出て来てるところだった。
一気に心臓が跳ね上がる。
「わっ、ほんとだ。じゃあまた明日!って明日はお休みだから、また月曜日にね!」
車を降りると、丁度成瀬さんが私の前までやって来て立ち止まった。
成瀬さんが私を見下ろし口を開く前に、松本さんの車の助手席の窓が降りた。
「お疲れ様です。あの、一つだけお願いしてもいいっすか?」
運転席から身を乗り出すようにこちらを向いて、成瀬さんを真剣な表情で見つめて言った。
「なんだ。」
「美希を、大事にしてやって下さい。じゃ、俺はこれで。失礼しました。」
それだけ言って、松本さんはササッと車を走らせていってしまった。
・
・
・
松本さんの車の助手席は、妊婦の優子さんが座りやすいように、シートが少し倒してあった。
松本さんに言われて初めて、目の充血が収まってない事を知る。
車は向かう。
私の居場所なのか…断言できない家へ。
「何かあったら、また家来いよ。優子も美希の事気に入ったみたいだし。」
「…うん。ありがと。」
小さく呟いた。
車がマンションに近づくにつれて、落ち着かなくなって、髪を触ってみたり、顔を触ってみたり…
「電話した?」
「えっ?あぁ…さっき車待ってる時。」
「そう。」
時計はすでに11時。
さすがにこれは…と思い、松本さんが車を回してくる間に勇気を出して成瀬さんに電話してみた。
すごく淡々としていて、怒ってるのか怒ってないのか、どうでもいいのかも判断出来ないくらい淡々としていた。
それが余計に不安に感じた。
一駅分の距離は、車で行くと10分程にしかならず、私がゴソゴソしている間にマンション前に到着してしまった。
車が停車すると、はぁ…と小さくため息を漏らす。
「おいおい、家帰るのにため息つくなよ。ほんと大丈夫か?」
心配そうな顔をした松本さんに気付いて、慌てて笑顔を作った。
「うん!全然大丈夫!今日はほんとありがとう!優子さんにもお礼言っておいて?」
「ん?…おう。てか…迎えに来てるぞ。」
松本さんが私の後ろに視線を向けながら言った。
ハッとして振り返ると、ジーパンTシャツ姿の成瀬さんがマンションから出て来てるところだった。
一気に心臓が跳ね上がる。
「わっ、ほんとだ。じゃあまた明日!って明日はお休みだから、また月曜日にね!」
車を降りると、丁度成瀬さんが私の前までやって来て立ち止まった。
成瀬さんが私を見下ろし口を開く前に、松本さんの車の助手席の窓が降りた。
「お疲れ様です。あの、一つだけお願いしてもいいっすか?」
運転席から身を乗り出すようにこちらを向いて、成瀬さんを真剣な表情で見つめて言った。
「なんだ。」
「美希を、大事にしてやって下さい。じゃ、俺はこれで。失礼しました。」
それだけ言って、松本さんはササッと車を走らせていってしまった。
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