緑と石の物語
*
「行ってらっしゃい!」
リーズはエリサと共に馬車を見送った。
両親と兄は、親戚の結婚式に出かけたのだ。
リーズも行こうかどうしようかとさんざん迷ったが、親戚の家まではかなり遠い。
往復するだけで十日近くかかってしまう。
行ってすぐに帰るというわけにもいかないし、行けば少なくとも二週間近くはここを離れることになる。
今は、ほんの僅かな間もレヴと離れたくないと感じるリーズにとって二週間は長すぎる。
だから、エリサと共に屋敷に残ることにしたのだ。
「皆様、行ってしまわれましたね…
リーズ様と二人っきりで過ごすなんて初めてですね。」
「本当ね…
なんだか寂しいわ…」
リーズは、小さな声でそう答えた。
「では、レヴ様にお願いして、こちらに泊まっていただきましょうか?」
「変なこと言わないでよ!
そんなことしたら、まわりの人達に何を言われるか…」
「誰も何も言いませんよ。
だって、リーズ様とレヴ様はご婚約なさってるんですもの!」
「そうは言ってもまだ口約束だけなのよ。」
「大丈夫ですわ。
レヴ様は裏切るような方じゃありませんもの。
それに、こちらにもすでにご挨拶にも来られてるんですから!
誰にも何も言わせませんわ!」
エリサは、そう言って、拳をぎゅっと握りしめた。
「でも、まだ皆さんには発表してないんだから…」
「そうでしたね。
それで、フレデリック様のお屋敷でのパーティはいつなさるんですか?」
「近々…ということだけしかうかがってないんだけど…」
「そうでしたか…楽しみですわね!
ところで、今日はいかがされますか?
レヴ様と会われるのですか?」
「今日は、レヴ様はヴェールさんと馬で遠出してくるっておっしゃってたわ…」
リーズの蚊の鳴くような声でそう答える。
「まぁ、それはお寂しいこと!」
「なによ、エリサったら意地悪ね!
一日位会わなくったって、どうってことないわ!」
「本当ですか?
また、寂しい…って、お泣きになるんじゃ…」
「私、そんな泣き虫じゃないわ!」
「それならよろしいんですが…
そうそう、今日は広場に市が立つらしいですよ。
気分転換にのぞきに行ってみましょうか?」
「そうね、面白そうだわ!
行ってみましょう!」
リーズとエリサは市場へ出掛けた。
このあたりに市が立つのは珍しいこと。
さしてたいしたものがあるわけではないのだが、物珍しさから大勢の客が詰め掛けていた。
「行ってらっしゃい!」
リーズはエリサと共に馬車を見送った。
両親と兄は、親戚の結婚式に出かけたのだ。
リーズも行こうかどうしようかとさんざん迷ったが、親戚の家まではかなり遠い。
往復するだけで十日近くかかってしまう。
行ってすぐに帰るというわけにもいかないし、行けば少なくとも二週間近くはここを離れることになる。
今は、ほんの僅かな間もレヴと離れたくないと感じるリーズにとって二週間は長すぎる。
だから、エリサと共に屋敷に残ることにしたのだ。
「皆様、行ってしまわれましたね…
リーズ様と二人っきりで過ごすなんて初めてですね。」
「本当ね…
なんだか寂しいわ…」
リーズは、小さな声でそう答えた。
「では、レヴ様にお願いして、こちらに泊まっていただきましょうか?」
「変なこと言わないでよ!
そんなことしたら、まわりの人達に何を言われるか…」
「誰も何も言いませんよ。
だって、リーズ様とレヴ様はご婚約なさってるんですもの!」
「そうは言ってもまだ口約束だけなのよ。」
「大丈夫ですわ。
レヴ様は裏切るような方じゃありませんもの。
それに、こちらにもすでにご挨拶にも来られてるんですから!
誰にも何も言わせませんわ!」
エリサは、そう言って、拳をぎゅっと握りしめた。
「でも、まだ皆さんには発表してないんだから…」
「そうでしたね。
それで、フレデリック様のお屋敷でのパーティはいつなさるんですか?」
「近々…ということだけしかうかがってないんだけど…」
「そうでしたか…楽しみですわね!
ところで、今日はいかがされますか?
レヴ様と会われるのですか?」
「今日は、レヴ様はヴェールさんと馬で遠出してくるっておっしゃってたわ…」
リーズの蚊の鳴くような声でそう答える。
「まぁ、それはお寂しいこと!」
「なによ、エリサったら意地悪ね!
一日位会わなくったって、どうってことないわ!」
「本当ですか?
また、寂しい…って、お泣きになるんじゃ…」
「私、そんな泣き虫じゃないわ!」
「それならよろしいんですが…
そうそう、今日は広場に市が立つらしいですよ。
気分転換にのぞきに行ってみましょうか?」
「そうね、面白そうだわ!
行ってみましょう!」
リーズとエリサは市場へ出掛けた。
このあたりに市が立つのは珍しいこと。
さしてたいしたものがあるわけではないのだが、物珍しさから大勢の客が詰め掛けていた。