緑と石の物語
*
「思ったよりも人が多いわね!」
「このあたりでは市はめったにありませんからね。
リーズ様、はぐれないように私にぴったりくっついていて下さいね!」
「エリサ…私、子供じゃないのよ。
ここからだったら、目をつぶってでも帰れるわ!」
「そんなことおっしゃって…
昨年も迷子になってしまわれたじゃありませんか…」
「あ、あの時は、迷子の男の子がいたから…」
「その子に話を聞いてるうちにリーズ様も迷子になられたんですよね…」
「もういいわ!!
あら……あれは…?」
リーズは一軒の露店に吸い寄せられるように近づいていく…
「リーズ様ったら、言ってるそばから…」
「いらっしゃい!
いろんなものがあるよ。
ゆっくり見ていって下さいな。」
「あの指輪…」
「おお~っ!
娘さん、お目が高いね!
これはとても良いものだよ!」
男はリーズが目を留めた指輪を、リーズの目の前に差し出した。
「まぁ…なんて神秘的な輝きなのかしら…」
「この石は、『ムーンストーン』っていってね、月の力を持った石なんだ。」
「月の力…?」
「リーズ様、そんなものあなたには似合いませんわ。
近いうちにレヴ様がもっと美しくてもっと大きな宝石のついた指輪を贈って下さいますよ。
そんな安っぽい指輪、およしなさいませ。」
「メイドさん、あんた、何にもわかっちゃいないな。
石は高けりゃ良い、大きければ良いってなもんじゃないんだよ。
この石はな、『愛の石』って呼ばれててな。
特に遠くに離れて暮らす恋人達の気持ちを離れないようにしっかり繋ぐって言われてるんだよ。」
「まぁ!!本当ですか!?」
商人の言葉に、リーズは目を輝かせる。
「あぁ、本当さ。
空はどんなに離れてても繋がってるだろう?
その空に浮かぶ月の力で二人の気持ちを繋いでくれるって言われてるのさ。
どうだい?試しに一度、さしてみたら?」
「良いんですか?」
「あぁ、構わないよ。
サイズが合えば良いんだが…」
リーズは無意識に指輪を左手の薬指にさしてみた。
「まぁ…!ぴったり!
まるで私にあつらえたみたいにぴったりだわ。」
「本当だ…
とてもよく似合ってるよ。」
「リーズ様、その指は…」
「あ…
でも、構わないわ。
レヴ様に指輪をいただくまでの間だけ…
そのあとはサイズを変えて他の指にさすことにするわ。」
「その指輪がそんなに気に入られたんですか?」
リーズはにっこり微笑み頷いた。
「思ったよりも人が多いわね!」
「このあたりでは市はめったにありませんからね。
リーズ様、はぐれないように私にぴったりくっついていて下さいね!」
「エリサ…私、子供じゃないのよ。
ここからだったら、目をつぶってでも帰れるわ!」
「そんなことおっしゃって…
昨年も迷子になってしまわれたじゃありませんか…」
「あ、あの時は、迷子の男の子がいたから…」
「その子に話を聞いてるうちにリーズ様も迷子になられたんですよね…」
「もういいわ!!
あら……あれは…?」
リーズは一軒の露店に吸い寄せられるように近づいていく…
「リーズ様ったら、言ってるそばから…」
「いらっしゃい!
いろんなものがあるよ。
ゆっくり見ていって下さいな。」
「あの指輪…」
「おお~っ!
娘さん、お目が高いね!
これはとても良いものだよ!」
男はリーズが目を留めた指輪を、リーズの目の前に差し出した。
「まぁ…なんて神秘的な輝きなのかしら…」
「この石は、『ムーンストーン』っていってね、月の力を持った石なんだ。」
「月の力…?」
「リーズ様、そんなものあなたには似合いませんわ。
近いうちにレヴ様がもっと美しくてもっと大きな宝石のついた指輪を贈って下さいますよ。
そんな安っぽい指輪、およしなさいませ。」
「メイドさん、あんた、何にもわかっちゃいないな。
石は高けりゃ良い、大きければ良いってなもんじゃないんだよ。
この石はな、『愛の石』って呼ばれててな。
特に遠くに離れて暮らす恋人達の気持ちを離れないようにしっかり繋ぐって言われてるんだよ。」
「まぁ!!本当ですか!?」
商人の言葉に、リーズは目を輝かせる。
「あぁ、本当さ。
空はどんなに離れてても繋がってるだろう?
その空に浮かぶ月の力で二人の気持ちを繋いでくれるって言われてるのさ。
どうだい?試しに一度、さしてみたら?」
「良いんですか?」
「あぁ、構わないよ。
サイズが合えば良いんだが…」
リーズは無意識に指輪を左手の薬指にさしてみた。
「まぁ…!ぴったり!
まるで私にあつらえたみたいにぴったりだわ。」
「本当だ…
とてもよく似合ってるよ。」
「リーズ様、その指は…」
「あ…
でも、構わないわ。
レヴ様に指輪をいただくまでの間だけ…
そのあとはサイズを変えて他の指にさすことにするわ。」
「その指輪がそんなに気に入られたんですか?」
リーズはにっこり微笑み頷いた。