緑と石の物語
「仕方ありませんね…」

エリサは、しぶしぶ代金を支払った。

「毎度あり~!
愛する人とうまくいくように祈ってるよ!」







家に帰ってからもリーズは指輪を眺めてばかりいた。

「…本当に素敵な石だわ…」

「リーズ様ったら…
もう少し待てば、ルビーでもサファイヤでもダイヤでも、なんでも買っていただけるものを…」

「エリサ…あなたはこの石、綺麗だと思わない?」

「私はもっと大きなダイヤモンドの方が嬉しいですわ!」

「まぁ、欲張りね!
私はレヴ様が選んで下さったものならなんでも嬉しいけど…
でも、初めて見たこの石…なぜかしら?
すごくひかれてしまったわ。」

「そういえば、リーズ様は宝石もアクセサリーもあまり興味をお持ちじゃなかったですよね。」

「そうなの。
こんなにひかれたのは本当に初めてなのよ!
サイズもぴったりだし、私には最適の力を持ってるし…
ご縁があったのかしら?」

「石とのご縁ですか?
そんなもの、聞いたことがありませんわ。」

「おかしいかしら?
でも、きっと、今日は運が良い日だったのね。
だから、こんな素敵な石にめぐりあえたのよ!」







その日、レヴとヴェールは調子に乗って遠くまで走り続けてしまっていた。



「夜に馬を走らせるのは危険だな。
今日はこのあたりで夜を明かした方が良さそうだ…
それにしても、君は本当に乗馬がうまくなったな。」

「そう言っていただけるのは嬉しいですが…
今日は飛ばしすぎましたね。
フレデリックさんやリーズさんもきっと心配してらっしゃいますよ。
そうでなくても、サリーさんのカードの啓示があるのですから、気を付けなくては…」

「私はこういうことは昔からよくあったのだ。
ただ、野宿をすることはなかったがな。
だから、フレデリックは心配はしていないと思うのだが…」

「リーズさんは心配症ですからね…」

「そうだな。次からは気を付けるとしよう。」







「レヴ様、今日は来られませんでしたね。」

「きっと遅くなられたんだわ。」

「明日、フレデリック様のお屋敷に行ってみましょうか?」

「大丈夫よ!
私にはこの石があるんですもの…」

「まぁ、心配性のリーズ様のお言葉とは思えないですね。
そんな安い石のおかげでこんなに変わられるのなら、掘り出し物だったと言わざるを得ませんね!」

「エリサは本当に意地悪ね!!」



(…不思議だわ…
この指輪があると、いつもみたいに不安にならない…
あのおじさんがおっしゃってた通り、本当にこの石の力なのかもしれないわ…)
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