緑と石の物語




「では、行こうか…」

遠出から帰ったレヴは、休む間も惜しんですぐに馬車に乗り込んだ。



「すまないな。わざわざ君にまでついてきてもらって…」

「いえ、そんなことは全然構いません。
レヴさんはお疲れではありませんか?」

「あぁ、なんともない。」

「そうですか、なら良いのですが…」

ヴェールはサリーのカードのことが始終頭から離れなかった。
何があっても、レヴの身を守りたい…!
その一心だった…



「リーズ!」

「レヴ様…!!」

馬車から降りたレヴの胸にリーズは飛び込んだ。



「まぁ、お熱いこと…!」

「すまなかった。
昨日は、少し遠くまで行きすぎて帰って来られなかった…」

「レヴ様がご無事ならそんなこと構いませんわ。」

「そうか…
君が心配してるのではないかと思って、すぐにここに来たのだ。」

「まぁ、そんなに私のことを…!
レヴ様…ありがとう!」



(ヴェール様、私達、お邪魔なようですから屋敷の中で待ってましょう…)

(…そうですね…)



エリサがお茶の用意をしていると、二人が腕を組みながら部屋に現れた。



「……そうですか…
ご両親や兄上はもうでかけられたのですか…」

「ええ、めったに会えないから少しゆっくりして来ると言い出して、予定より少し早めに…」

「ですから今、この屋敷には私とリーズ様の二人っきりなんですよ。」

「そうでしたか…なら、あなた方もフレデリックの屋敷に来られませんか?」

「でも、そんな…ご迷惑になりますわ」

「迷惑だなんて…そうしましょう!
そうすれば、私もいつでも好きな時にあなたに会える…」

「レヴ様……」


結局、リーズとエリサはその晩からフレデリックの家で過ごすことになった。
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