緑と石の物語
エリサの話はこうだった。
荷物の準備が早めに出来てしまったので、エリサとリーズは裏山に散歩に出かけた。
その時、崖下に百合の花をみつけたリーズはそれを取ろうとし、そして崖から落ちたというのだ。
エリサは近隣の住人に助けを求め、リーズは今、その住人の所にいるという。
「そんな…リーズが……!!」
「レヴ、行くぞ!!」
レヴとフレデリックはエリサにその場所を聞き、馬を走らせた。
エリサとヴェールは、馬車で向かう。
先に着いたフレデリックとレヴが見たものは、まさに今その命の灯火を消し去ろうとしている痛々しいリーズの姿だった…
「あの崖から落ちて助かった者はいない…
崖下はゴツゴツした岩だらけだからな。
たいていは、即死だ…
この娘さんはすぐに死ななかっただけでも奇跡だが…気の毒だが助かることはなかろう…
まだ若いのに…可哀想にな…」
「リーズ……!!!」
「レヴ、落ちつけ!」
リーズに取りすがるレヴを押し退け、フレデリックはリーズの身体を診察した。
「どうなんだ?!
フレデリック!!
助かるんだろ?
リーズは必ず助かるよな…!
助かると言ってくれ、フレデリック!!」
「レヴ……
出来る限りのことはする…
しかし……心の準備はしておけ…」
「フレデリック…!!」
やがて、ヴェールとエリサの乗った馬車が着いた。
「早く診療所へ!!」
馬車にリーズを運び入れ、ヴェールはフレデリックの乗ってきた馬に乗り、レヴと共に診療所へ向かった。
*
「レヴ、ちょっと来てくれ…」
「フレデリック、どうなんだ!
リーズは…リーズの容態は…」
「レヴ…今夜はリーズさんのそばにいてやれ…」
「もちろんそのつもりだが…」
「リーズさんは…おそらく…明日の朝まではもたん…」
「…え……フレデリック…
今、何と…?」
「レヴ……もうどうしようもない…」
「フレデリック…!」
レヴは病室に入った。
そこに横たわるリーズは至る所を白い包帯で巻かれ、すでに息をしていないようにも見えた…
「リーズ…なぜ、こんなことに…」
レヴは、リーズのその姿になす術なく立ち尽くした。
「リーズ様…!
レヴ様、本当に申し訳ありません!!
危ないからと私、ご注意したのですが…リーズ様は『大丈夫!』と笑ってらっしゃって…
そしたら突然木の杭が…
私がついていながらこんなことになってしまうなんて…レヴ様、本当に申し訳ありません…!!」
「…エリサさん…あなたのせいじゃない…
目に浮かぶようですよ…その時のリーズの様子が…」
「レヴ様……」
「どうか、休んでください。
あなたもお疲れになっているでしょう…」
「…では、私…ヴェール様と廊下のベンチにおりますので、なにかありましたらすぐにお呼びください…」
荷物の準備が早めに出来てしまったので、エリサとリーズは裏山に散歩に出かけた。
その時、崖下に百合の花をみつけたリーズはそれを取ろうとし、そして崖から落ちたというのだ。
エリサは近隣の住人に助けを求め、リーズは今、その住人の所にいるという。
「そんな…リーズが……!!」
「レヴ、行くぞ!!」
レヴとフレデリックはエリサにその場所を聞き、馬を走らせた。
エリサとヴェールは、馬車で向かう。
先に着いたフレデリックとレヴが見たものは、まさに今その命の灯火を消し去ろうとしている痛々しいリーズの姿だった…
「あの崖から落ちて助かった者はいない…
崖下はゴツゴツした岩だらけだからな。
たいていは、即死だ…
この娘さんはすぐに死ななかっただけでも奇跡だが…気の毒だが助かることはなかろう…
まだ若いのに…可哀想にな…」
「リーズ……!!!」
「レヴ、落ちつけ!」
リーズに取りすがるレヴを押し退け、フレデリックはリーズの身体を診察した。
「どうなんだ?!
フレデリック!!
助かるんだろ?
リーズは必ず助かるよな…!
助かると言ってくれ、フレデリック!!」
「レヴ……
出来る限りのことはする…
しかし……心の準備はしておけ…」
「フレデリック…!!」
やがて、ヴェールとエリサの乗った馬車が着いた。
「早く診療所へ!!」
馬車にリーズを運び入れ、ヴェールはフレデリックの乗ってきた馬に乗り、レヴと共に診療所へ向かった。
*
「レヴ、ちょっと来てくれ…」
「フレデリック、どうなんだ!
リーズは…リーズの容態は…」
「レヴ…今夜はリーズさんのそばにいてやれ…」
「もちろんそのつもりだが…」
「リーズさんは…おそらく…明日の朝まではもたん…」
「…え……フレデリック…
今、何と…?」
「レヴ……もうどうしようもない…」
「フレデリック…!」
レヴは病室に入った。
そこに横たわるリーズは至る所を白い包帯で巻かれ、すでに息をしていないようにも見えた…
「リーズ…なぜ、こんなことに…」
レヴは、リーズのその姿になす術なく立ち尽くした。
「リーズ様…!
レヴ様、本当に申し訳ありません!!
危ないからと私、ご注意したのですが…リーズ様は『大丈夫!』と笑ってらっしゃって…
そしたら突然木の杭が…
私がついていながらこんなことになってしまうなんて…レヴ様、本当に申し訳ありません…!!」
「…エリサさん…あなたのせいじゃない…
目に浮かぶようですよ…その時のリーズの様子が…」
「レヴ様……」
「どうか、休んでください。
あなたもお疲れになっているでしょう…」
「…では、私…ヴェール様と廊下のベンチにおりますので、なにかありましたらすぐにお呼びください…」