緑と石の物語




「ただいま!」

「おぉ、帰って来たか!
昨夜は心配したぞ!」

「すみません。めったに会うことがないのだから、せめて一晩くらい泊まっていけと知人が強く言うもので…」

「そうだったのか…
多分、そうじゃろうとは思ってたんじゃがな。」



その晩、ジネットが眠ったのを確認して、四人はピエールの部屋に集まった。



「緑と赤ですか…また難解なイメージですね。」

「そうなんだよ。
だから、シャルロの所へ行くことになったんだ。」

「西の塔の魔女の話によると、シャルロさんに聞けばなにかわかるかもしれないというのです。」

「それは誰なんだね?」

「シャルロってのは、未来の事やいろんなんことがわかるおじさんでさ。
そのあたりでは『預言者』なんて呼ばれてるよ。
魔石のことも一目で見抜いた人なんだ。」

「そうか、その人が何か役に立つことを教えてくれると良いのぅ…」

サリーは、ピエールに向かって大きく頷く。



「ヴェール、シャルロさんの町までの道程はわかるか?」

「ええ、大丈夫です。」

「当たり前だろ!ヴェールはあんたと違って方向音痴じゃないんだから、任せとけば大丈夫なんだよ!
あ、あの町には海があったね。
また、遊びに行こうっと!」

「ほぅ…海の近くの町なのかい。
それはええのう。
……それで、いつ発つんじゃ?」

「はい、近いうちに…」

「そうか…無理はしなさんなよ。」

各自は部屋に戻った。
サリーは、この夜もピエールの部屋で休むと言い出し、そのまま部屋に残った。



「また寂しくなるのぅ…」

「今回は前みたいに長い旅にはならないさ、きっと。
帰ってきたら…あたし、ここで暮らそうかな?!」

「本当か?」

「本当だよ。
前からここには入り浸ってたから、ここはあたしの家みたいなもんだしね。」

「そうか、そうか…
危ないことはせずに、無事に帰って来るんじゃぞ!」

「あたしは大丈夫さ!
殺されたって死ぬような人間じゃないからね!
それはあんたもよく知ってるだろ?」

「ハハハ…そうじゃったな。」

二人は、顔を見合わせて笑った。



「ところで…なんか、ジネットの様子がちょっと気になったんだけど、なにかあったのかい?」

「ジネットさんか…実はわしもそう思っとったんじゃ。
なんだかやけに嬉しそうじゃな。」

「そうそう!そうなんだよ。
妙に機嫌が良いんだよねぇ…
本当になにか変わったことはなかったかい?
なにか言ってたとかさ…」

「いや…何もそういうことは…
あ…そういえば…」
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