緑と石の物語
「……それで……ジネットさんには告白したのか?」

「……え…?……ええ……」

「……返事はもらえたのか?」

「……はい。
……ジネットさんも、私と同じ気持ちだった…と…」

「そうか。それは、良かった!
今日は、本当に最良の日になったな。」

「ええ、その通りですね…
これも、あの時、私達がもたもたしていたおかげですね。」

ヴェールとレヴは穏やかに微笑んだ。



「何が幸いするかわからんもんだな…」

ヴェールとレヴは、これからの行き先について語り合った。
この先には星の町しかないが、そこから先にまだ立ち寄ってはいない町があるようだ。

今の所、魔石についての新しい情報は皆目ないが、きっと今度もまた導かれることになるのだろうとレヴ達は考えていた。

今は「赤と緑」
…これだけしか手掛りはないのだが、旅を進めているうちにきっとその意味がわかる日が来るのだろう…と。







「これからは星の町の先にある町を目指そうと思う。」

「星の町かぁ…
いろんな意味で思い出深い町だよね…」

「そうだな…
あの町の宿屋には長い間世話になった…」

「お世話になったのは、宿屋にじゃなくてジネットにだろ!
あたし達がいない間、レヴのことをずっと看てもらってたんだから…」

「いえ…私にはなにも出来ることはありませんでした。
何も出来ず、ただみつめているだけ…あんなに自分の無力さを感じたことはありませんでしたわ。
サリーさん達があのお医者様を連れてきて下さらなかったら…どうなっていたことか…」

「ジネット…実はあの時、あたし達、西の森に行ってたんだよ。」

「えっ!なぜですか?なぜ、西の森に?」

「それは…」

この話をすると魔石の話に繋がることに気付き、サリーは焦った。



「それは、レヴさんの身体に効く薬草か何かを森の民のどなたかがご存知ないかと考えたのです。
あの時はわらにもすがる想いでしたから。
森では収穫はなかったのですが、その帰りに、偶然、あのお医者様にめぐりあいまして…」

「そ、そうなんだよ!
森の民はそういう知識も豊富だと思ってさ…
レヴが悪いんだよ!
なんだかよくわからない性質の悪い病気になるから!」

「まぁ、サリーさんったら。
そういえば、レヴさんの御病気は何が原因だったんですか?」

「あ…あ…それは…
難しくて忘れてしまいましたが、なにやら細菌関連のような…
私の体質も関係していたようで、アレルギーかなにかの反応の…
なぁ、ヴェール、確かそうだったな?」
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