緑と石の物語
「そんなことが…
それでマイユ様はなぜお亡くなりになられたのですか?」

「……病気でした。
もう少し早く出会えていれば、森へ帰ることも出来たのでしょうが…残念です。」

「そうだったのですか…
でも、マイユ様はあなたに会うことが出来て、きっとお幸せだったと思いますわ。」

「ありがとう、ジネットさん…」

「ねぇねぇ、せっかくだから、皆でジネットを見送りがてら西の森に行ってみない?
こんなに近くに来てるんだしさ。」

「それもそうだな。」

旅の行き先は突然、西の森へと変更された。







「ヴェール様!
それに…おぉ、カタリナさんではありませんか!!」

「ヨンネさん、お久しぶりです!
やっと戻ってまいりました。」

「カタリナさん…?」

「あ…すみません。
カタリナは、本名です。
最近は『ジネット』と呼ばれる方がしっくり来るんですけど…」

「ヴェール様、カタリナさん、お屋敷の方へどうぞ!
私は早速ディサ様に連絡をしてまいります。」

ヨンネは、そう言い残すと風のように走り去った。



「あの方はいつも慌ただしいんですよ。」

ジネットはおかしそうにくすくすと笑う。



「なんだかここも久しぶりだね!
あ、そういえば、ここには代々森の長が住むんだよね?
じゃ、将来はジネットもここに住むんだ!?」

「え?!」

ジネットとヴェールは赤い顔を見合わせている。



「カタリナ!!」

「母さん!!」

母と娘はお互いの元に走り寄り、ひしと抱き合った。
二人の瞳には熱い涙がこみあげていた。



「母さん…やっと、ヴェール様に護り石をお届けすることが出来ました。」

「カタリナ…ご苦労さま…
大変だったわね…
本当によくやれたわね…
父さんもきっと喜んでるわ…」

「母さん…!!」
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