緑と石の物語
次の朝…
なにやら、ヴェールとジネットの様子がおかしいことに、サリーとレヴは気が付いた。
食事の間も、二人はどことなく落ち着きがない。



「あの…レヴさん、サリーさん…少しお話があるのですが…」

「なんだ…?」

「あの…ですね…」

ジネットは下を向いて黙り込む。



「どうしたのさ、ヴェール?
なにか言いにくいこと?」

「あの……実は、ジネットさんに森へ帰っていただこうかと思うのですが…」

「何?どうしたんだい?
約束の半年にはまだあと少しあるよ。
……まさか、あんた達、喧嘩したんじゃ…」

「いえ、そうではないのです…
あの…実は…実はですね…」

ヴェールの顔は汗びっしょりになっていた。



「なんだよ、実は、実はって。
実はどうしたんだい?」

レヴはヴェールのグラスに冷たい水を注いだ。
ヴェールはそれをごくごくと一気に飲み干すと、気持ちが固まったかのように一息ついて口を開いた。



「実は、ジネットさんに子供が出来たようなのです!!」

「……子供……?」


ヴェールとジネットは耳まで真っ赤になっていた。
レヴとサリーは、一瞬、放心したようにその動きが止まった。



「えええ~~~~っ!!
こ、子供って…
ジネットのお腹にヴェールの赤ちゃんが出来たってこと~~~?!」

レヴはポカンと口を開けている。


「…な、何?!
ヴェール、サリーの言った通りなのか?!」

ヴェールは、顔を上げず恥ずかしそうに下を向いたままで小さくうなずいた。



「あんた達、いつの間に!!
驚いたったらないよ!
ヴェール、あんた、見掛けによらず、やるもんだねぇ…」

「本当なのか?
私にはまだ信じられない。」

ヴェールとジネットはサリーにさんざん冷やかされた。



「ねぇ、ジネット、間違いないのかい?」

「ええ、おそらく…
話に聞いた所によると、妊娠して一ヶ月経つと、五日間から一週間程熱が続くらしいのです。」

「…ってことは、少なくとも一ヶ月前にはあんたらはもう深い仲になってたってわけだね。
まったく気付かなかったよ。」

「こら、サリー!よさないか。」

ジネットとヴェールはまた下を向いてしまった。



「照れることないって。
あんたらは将来結婚する仲なんだからさ。
でも、皆も驚くだろうねぇ…!」

「きっと、ディサさんも喜んで下さるさ。
ヴェールもご挨拶ついでに、一緒に帰って来たらどうだ?」
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