緑と石の物語




「リーズ、どうなってるだろうね。
西の塔の魔女が言った通りに目を覚ましてると良いね!」

「そうだな…
だが…たとえ、目覚めてなくても、私はかまわない。
…リーズが生きていてくれるだけで…」

レヴは言葉を言いかけて止めた。



「…すまない、ヴェール…」

「いえ……私にはそのお気持ちはよくわかります…
たとえ、どんな形であれ、生きてさえいてくれたら…」

ヴェールの言葉にサリーは涙を流しはじめた。



「ジネットがいないことが、こんなに寂しいとは思わなかったよ…
いつも四人でいたから…
それが普通になってたから…
最初はあんまり虫が好かないって思ってたけど…すっかり仲良くなれたのに…
こんなことなら嫌いなままでいた方が良かった…」

「サリーさん、泣かないで下さいよ。
私も我慢してたのに、サリーさんが泣いたら、私だって…」

「ヴェール……ごめん。
でも、あたし…やっぱり、寂しいよ…
こうして旅に出ると…ジネットがいないことがものすごく寂しく感じられて…」

しばらくの間は、歩も進まず会話も弾まない旅となった。
それも仕方のないことだ。
ジネットが亡くなってまだいくらも経っていないのだから…

四人で旅に出た頃とはまるで違う重苦しい雰囲気の中、三人はピエールの店に着いた。
どうせ通り道でもあるので、ジネットのことをピエールにも報告しておこうと思ったのだ。



「おぉ!サリー!!
それに、皆さんも…久しぶりじゃな!
……あれ、ジネットさんはどうしたんじゃ?
今回はジネットさんには秘密の旅なのかね?」

「ピエール……そのことは中で話すよ。」

「そうか、ジネットさんにはちょっと聞きたいことがあったんじゃがな。」

「聞きたいこと…ですか?」

「まぁ、とにかく中へ入っておくれ。話はそれからじゃ。」
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