緑と石の物語




「レヴ!それにヴェールさん!
戻ってきたのか!
リーズさんにはもちろんもう会ったんだろうな?」

「あぁ、会った…
…フレデリック、リーズのこと、本当にどうもありがとう。
君のおかげだ。」

「私は何もやっちゃいない。
ヴェールさんとご家族と、そして、リーズさん本人の生きようとする力があったからこそのことだ。」

「…フレデリック…今日は…頼みがあってやってきたのだ。」

「頼み?何なんだ?」

「実は……」

レヴの話を聞くうちに、フレデリックの顔つきはだんだん険しいものに変わっていった。







「……レヴ、本当に良いのか…?」

「あぁ、私の気持ちは変わらない…」

「そうか…わかった…」







「何日間もどこに行ってたんだよ!」

「あぁ、リーズさんのご家族にちょっとご挨拶にな。
それと、フレデリックの所にも…」

「そうだったんですか!それならそうと言って下されば良かったのに…」

「君のご両親も兄上もとてもお元気だったよ。」

「そうですか…」

「リーズの言う通りだよ。そんなことなら、最初からそう言えば良いのに…」

「すまなかったな。」







その夜、ヴェールとサリーはレヴの部屋に来ていた。



「レヴさん、ところで結婚式はいつなさるんですか?
出来れば、私が森に帰る前にあげていただきたいですが…」

「…いや、式は別に…」

「そんなことをおっしゃってはリーズさんが可哀想ですよ。
リーズさんのためにもぜひ」

「しかし…」

「私のことを気遣って下さっているのなら、そんな気遣いは無用です。
むしろ、私のためにもあげていただきたいのです。
私が出来なかったことを、ぜひレヴさんに叶えてほしいのです。
あなたは、私にとってとても大切な人です。
幸せな姿を見せていただきたいのです。」

「レヴ、ヴェールもこう言ってくれてるんだしさ。
リーズのためにも式はあげた方が良いと思うよ。」

「……ヴェール、サリー……ありがとう…
では、そうすることにしよう。
……それとな、サリー…今日は君に話しておきたいことがあるんだ。」

「…なんだよ。」

「実はな……」

レヴの話を聞くうちにサリーの顔が強張っていく。



「……今日はそのことを伝えたかったんだ。」

「そうだったんだ…それで…
でも、これでもう安心だね…」

サリーは静かに微笑み、レヴは大きく頷いた。
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