緑と石の物語
「どうかされましたか?」

「……いや…なんでもない…
ところで、明日からの旅だが…」

「…そのことなら、明日、サリーさんから発表があるようですよ。」

「明日?
まったくおかしな奴だな。」

「まぁ、良いではありませんか。
明日になればわかることですから…」

(特に行くあての決まっていない旅だ…
どこに行くことになろうともかまわない…
サリーに行きたい場所があるのなら、そこで良い。)







「おはよう!
もう起きてるかい?」

「…珍しいな。
今日はいつもより早いではないか。」

「そうなんだよ!
これから行く所のことを考えてたら、早くに目が覚めてしまったのさ。」

「一体どこへ行きたいんだ?」

「皆、集まって!
いいかい?次の行き先を発表するよ!
次の行き先は…」

サリーは少しもったいぶるように、皆の顔を順番にみつめる。



「ジャジャーーン!発表します!
次の行き先はレヴ家です~!!」

「……何?私の屋敷に行くというのか?」

「そうさ、実は前から気になってたんだ。
だいたい、あんたさぁ、家を出てから何の連絡もしてないんだろ?
ご両親もきっと心配してるよ。
新しい旅に出る前に、一度、顔見せといた方が良いんじゃないのかい?」

「……それもそうだな…」



(これからの旅に向けての資金も必要だ。
父上や母上は心配されてはないとは思うが、一度、家に帰っておくのも悪くはない…)



「やった~~!
じゃ、決定だね!
次の目的地はレヴ家だよ~!」

サリーは妙に浮かれて、一人でおかしなダンスを踊っている。
その姿に、ヴェールとジネットは微笑んだ。

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