緑と石の物語
「…ところで、以前、君に本を読むようにすすめたことがあっただろう?
覚えているか?」
「ええ…」
「うちにはたくさんの本があるから、いろいろと読んでみると良い。」
「ありがとうございます。
楽しみにしてます。」
そこから二人は本の話題で盛り上がり、また夜更かしをする羽目になってしまった。
*
次の日の朝がやって来た。
「なんだい、あんた達、眠そうな顔して!
また夜更かししてたんだね。」
「本当に、レヴさんとヴェールさんは仲の良いご兄弟ですわね。
ご両親もお二人が戻られたら、さぞお喜びになることでしょうね!」
その言葉を聞いて、レヴはあることを思い出した。
「…あ…ジネットさん…
以前、少しお話したと思いますが、私達は理由ありの兄弟でして…
これから向かうのは私の家なのです。
それで…両親には、ヴェールとサリーのことをまずは友人だということにしておきたいのですが…」
「…え…
レヴさんのご両親は、ヴェールさん達のことをご存じないのですか…?」
ジネットの驚きも当然のことだ。
「…い…いえ、そうではなくて…
…幼い頃から会ってないので顔を見てもわからないと思うのです。
いずれは話すつもりですが、急に話して驚かせたくはないですし、余計な気遣いをさせないためにも、とりあえずは友人ということに…」
「……そうですか。
わかりました…」
ジネットはそう答えはしたものの、心の中では釈然としない気持ちだった。
(…一体、どういう関係のご兄弟なのかしら?
ヴェールさんやサリーさんは、レヴさんのお父様が外に作られたお子さんってこと?
だから、レヴさんはお母様に気を遣われているのかしら?
……いけないわ。
こんな推測をするのは…)
はっきりと真実を聞きたい気持ちもあるにはあったのだが、立ち入るべき問題ではないと感じ、ジネットはそれ以上は考えないことにした。
やがて、三人は暗き森の近くにやってきた。
少し遅くなった昼食を採るためにカフェに入り、オーダーを取りに来たウェイターに向かって、レヴはわざとこのあたりの地理について質問した。
覚えているか?」
「ええ…」
「うちにはたくさんの本があるから、いろいろと読んでみると良い。」
「ありがとうございます。
楽しみにしてます。」
そこから二人は本の話題で盛り上がり、また夜更かしをする羽目になってしまった。
*
次の日の朝がやって来た。
「なんだい、あんた達、眠そうな顔して!
また夜更かししてたんだね。」
「本当に、レヴさんとヴェールさんは仲の良いご兄弟ですわね。
ご両親もお二人が戻られたら、さぞお喜びになることでしょうね!」
その言葉を聞いて、レヴはあることを思い出した。
「…あ…ジネットさん…
以前、少しお話したと思いますが、私達は理由ありの兄弟でして…
これから向かうのは私の家なのです。
それで…両親には、ヴェールとサリーのことをまずは友人だということにしておきたいのですが…」
「…え…
レヴさんのご両親は、ヴェールさん達のことをご存じないのですか…?」
ジネットの驚きも当然のことだ。
「…い…いえ、そうではなくて…
…幼い頃から会ってないので顔を見てもわからないと思うのです。
いずれは話すつもりですが、急に話して驚かせたくはないですし、余計な気遣いをさせないためにも、とりあえずは友人ということに…」
「……そうですか。
わかりました…」
ジネットはそう答えはしたものの、心の中では釈然としない気持ちだった。
(…一体、どういう関係のご兄弟なのかしら?
ヴェールさんやサリーさんは、レヴさんのお父様が外に作られたお子さんってこと?
だから、レヴさんはお母様に気を遣われているのかしら?
……いけないわ。
こんな推測をするのは…)
はっきりと真実を聞きたい気持ちもあるにはあったのだが、立ち入るべき問題ではないと感じ、ジネットはそれ以上は考えないことにした。
やがて、三人は暗き森の近くにやってきた。
少し遅くなった昼食を採るためにカフェに入り、オーダーを取りに来たウェイターに向かって、レヴはわざとこのあたりの地理について質問した。