緑と石の物語
それからしばらく後、屋敷ではレヴの友人達を歓迎する夕食会が始まった。
レヴの両親はもっと豪勢なものを考えていたのだが、レヴの希望により、普段、家族で夕食を食べる部屋での質素な夕食会となった。



「レヴ、本当に良いのか?
こんな粗末なもので…」

「ええ…彼等もいきなり見ず知らずの人達を呼んでの豪華なパーティに引き出されてしまっては、身の置き所がないでしょう。
彼らはそういうことには慣れていないのです。
ですから、今日はこの方が良いのですよ。」

やがて、三人が食堂に入ってきた。



「うわぁ~~!すご~い!!」

食卓に並んだご馳走に、サリーが歓声をあげた。



「たいしたものはありませんが、どうぞ寛いで下さい。」

「すごいじゃないか!
あたし、こんな豪勢な食事は見たことないよ!
おじさん、おばさん、ありがとう!!」

メイド達はサリーの言葉にくすくす笑ったり、眉をひそめたりしていたが、レヴの両親は楽しそうに微笑んだ。



「レヴも今日はなんだか別の人みたいだよ!」

「そうか?
髪を少し整えただけなのだがな。」

「服だって…なんか、すごく高そうじゃないか。」

「たいしたことはない…」

「皆さんには、レヴが大変お世話になったそうで…
本当に感謝しておりますぞ。」

「そんなたいしたことしてないって。
こんな美味しいもの食べさせてもらえるなんて、こっちこそ感謝だよ!」

「レヴは、ずいぶんとしっかりしたように感じますわ。
これも皆様のおかげですわね。」

「レヴは世間知らずのお坊っちゃまだからね。
旅をして少しは大人になったかもしれないね。
でも、こんなすごいお屋敷に住んでたんじゃ、お坊っちゃまになるのも仕方ないよね…
あ、でもさ、おじさんもおばさんも優しくて良い感じの人なのに、なんでレヴはこんなに偏屈なんだろうね?」

「サ、サリーさん!」

サリーの不躾な物言いに、ヴェールは思わず声を上げた。



「…まぁ…!
面白いお嬢さんだこと…」

しかし、レヴの両親が少しも怒ることなく笑っているのを見て、ジネットとヴェールはほっと胸をなでおろした。
当のレヴは素知らぬ顔で食事を続けている。


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