緑と石の物語




次の日、レヴの屋敷には数人の仕立て屋がやってきた。
サリーやヴェール達の服を仕立てるためだ。



「こんなことならもっと早くに頼んでおくべきだったな。」

採寸が済むと、仕立て屋達はなんとしても来週までにサリー達の服を仕上げる事を約束して、早々に引き上げて行った。



「服なんてどうでも良いよ…って言いたい所なんだけどさ、やっぱりそういうわけにもいかないんだろうね。」

「他にも客があるだろうからな。
気を悪くしないでくれ。」

「あ!もしかしたら、舞踏会なんてのもあるのかい?」

「さぁな…フレデリックはあまり派手なことが好きな男ではないから、おそらくないと思うが…」

「なぁ~んだ…」

「君はダンスが好きだったのか?」

「好きだよ。
ただ、あたしが好きなのはあんたらの踊る上品なダンスとは違うかもしれないけどさ。」

そういうと、サリーは腕を振り上げ、腰をくねらせ、にっこりと微笑んだ。



「私はダンス等踊ったことはありません。」

「私もですわ。」

「じゃ、みんなでレヴに教えてもらおうよ!
あんたは当然踊れるんだろう?」

「まぁ、一通りは…」

「じゃ、決まりだね!」

サリーは、楽しそうに手を叩く。



「……私は遠慮しておきますわ。」

「なんでだよ、めったにないチャンスじゃないか!」

「そうですね。
こんな機会でもないとダンスを覚えることは出来ませんよね。」

「でも…私は…」

気乗りしない様子のジネットを説き伏せて、その晩から、三人のダンスレッスンが始まった。
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